KDDIは2023年3月6日、フジテレビジョンとともに、3月5日に行われた東京マラソン2023において、5G SA商用ネットワークでSLA(Service Level Agreement)保証型ネットワークスライシングを活用した地上波放送の番組制作活用の実証試験に成功したと発表した。
実証の構成
従来、スタジオ以外の他拠点から安定した映像を生中継するには、現場に専用機器を搭載した中継車を持ち込むことが多く、複雑なオペレーションが必要だった。また、LTE回線を利用する場合、ベストエフォートの通信品質となり、テレビの生中継映像に必要な高速かつ安定した通信の提供が課題となっていた。
今回の実証では、東京マラソンのスタート地点 (新宿)およびフィニッシュ地点 (丸の内)において、放送用カメラ、スマートフォンカメラの映像を5G SAでフジテレビ本社に伝送した。RIC(RAN Intelligent Controller)を活用したSLA保証型ネットワークスライシング (放送用カメラ専用スライス、スマートフォンカメラ専用スライス)により、観客などが利用する一般のスマートフォンのネットワークと論理的に分離し、各映像中継に必要な通信品質を確保した。
中継現場の様子(左)と実際の放送画面(C)フジテレビ
なお、RICを活用したSLA保証型ネットワークスライシング技術を、地上波放送の番組制作に活用したケースは世界初という。
こうしたネットワークで映像中継を行ったところ、従来と比較し簡易な設備構成で、安定的に中継可能であることが確認された。
また、スマホは小型軽量という特性を活かし、通常の放送用カメラの設置が難しい沿道カメラとして使用できるため、今後、映像制作の幅が広がることに期待できるとしている。