「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る《5-2》「個人の知識」を活かしきる企業――NTTデータ流ソーシャルテクノロジー

「Twitter」や「SNS」に代表されるソーシャルテクノロジーが、企業でも使われ始めた。厳しい経営環境を乗り切るために、組織へ組み込み、コミュニケーションの活性化に役立てようとする企業も現れている。本連載では、2009年のダボス会議で「持続可能な100社」に選ばれたNTTデータの取り組みを中心に、ソーシャルテクノロジーのメリットから活用のポイントを分かりやすく紹介する。

また、モチベーション管理の観点から言えば、ある人を頻繁に異動させることも困難です。その人が異動先の部署と合わなかった(人事異動のリスクが顕在化した)としても、何年かは異動先に留まってもらうしかありません。これは、個人と企業の双方にとって不幸です。

ところが、同じく人材を活性化させるにしても、第4章までで述べてきたようなソーシャルテクノロジーによる柔らかいつながりは、これらとは一線を画しています。人事異動のようなリスクを伴わず、社員一人ひとりに対してどの部署に所属しているかに関係なく、個人の知識を全ての側面から活用できる機会を与えます。いつもと同じ職場で慣れ親しんだ手順で仕事をこなしているとき、社内ネットワークの向こうから不意にこう聞かれます。「ねぇ、あなたって確かロッテファンだったよね」――こうして、あなたの持つ個人の知識は、あなたが今まで築いてきた職場内の人間関係や慣れ親しんだ業務ノウハウを犠牲にすることなく、新しいつながりを持ち始めます。

企業の中で個人の知識がフル活用されるということは、「個々人が人生という時間を投資して得た唯一無二の資産」である知識が余すところなく組織内でシェアされるわけです。組織的に見れば、人という財産「人財」を体力的にではなく“脳力的”に使い倒す――企業の各社員が持つ英知の全てを、組織として目指す社会貢献というベクトルのため、ムダに思える部分も遍く広くすくい出して社会に届ける――ということです。

今日のような激しい環境変化に対応していくとき、最も有効な資産は、土地でも工場でも技術でもありません。どんな環境にあっても、自分たちの知識や経験を“力”に変えて新しいビジネスチャンスを見出していくことができる「人」だと言えるのではないでしょうか。

(連載目次はこちら

NTTデータ流ソーシャルテクノロジーNTTデータ流 ソーシャルテクノロジー
~「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る~

■Nexti運営メンバー有志(著)
■新書版 132ページ
■定価:1,050円(税込)(本体:1,000円)
■ISBN:978-4-89797-843-7

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本連載は、2010年1月にリックテレコムから発行されたソリューションIT新書『NTTデータ流ソーシャルテクノロジー ~「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る~』(著者・Nexti運営メンバー有志)を転載したものです。

神谷 渉三(かみや・しょうぞう)
株式会社NTTデータ
営業企画部 シニアエキスパート
1996年、NTTデータ通信入社。営業として製造、石油、商社、放送、ネット等法人分野のシステムの企画提案活動に従事。その後、現部署において全社統一営業プロセス及びメソドロジーの策定に中心的な役割を果たす。
「ナレッジコンシェルジュ」立ち上げメンバーのひとりとして、総勢3万人におよぶNTTデータグループの人脈を活かしきる方法を日々模索している。

的場 聡弘(まとば・あきひろ)
株式会社NTTデータ
技術開発本部 課長
1995年、NTTデータ通信入社。Java言語を技術の軸に据え、Webシステム構築に関する技術支援業務やパフォーマンスチューニング、フレームワーク構築などに従事。プロジェクトマネジメントツールの開発を経て、現在はクラウドコンピューティングリソースを活用したシステム開発スタイルを提案している。
Nexti立ち上げメンバーとして、前出の豊島やよい氏とともに「こころざし」を起草した。
また、サンデープログラミングを趣味とし、ぱむ脱力ゲーム協会公認脱力作家、おちゃらけプログラマ第七号機という顔も持つ。
a.k.a. matobaa" http://matobaa.tdiary.net/
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