後編で紹介するのは、ビジネスの現場での活用例だ。iPadの登場以降、業務効率化や顧客サービスの向上を目的に、タブレットを導入する企業が増えているが、GALAXY Tabなどタブレット端末のバリエーションが増えることで、その勢いはさらに加速しそうだ(前編はこちら)。
ビジョンメガネは、全国に185店舗を展開するメガネ小売チェーン。同社はGALAXY Tabの発売日である昨年11月26日から、この端末を店頭での接客に活用し始めた。
導入店舗は、東京都足立区のショッピングモール内にある「アリオ西新井店」。店長の岩城明宏氏は、「簡単な説明ですぐに操作できるから、導入当日から販売員も早速使い始めた。お客様の反応はとてもいい。楽しみながらメガネを選んでいただける」と話す。
ビジョンメガネ・アリオ西新井店 |
実施しているサービスは、メガネの「バーチャルフィッティング」と呼ぶもの。まず、GALAXY Tabの内蔵カメラで来店客の顔写真を撮る。それを画面上に表示し、右下の写真のようにメガネの試着姿を確認しながら、さまざまなフレームやレンズを組み合わせて比較検討できる。五反田電子商事が開発したソリューション「ミライタッチ for Android」を活用して実現した。
店頭の商品を試着すると、度付きの自分のメガネは外さざるを得ないため、試着した自分の顔を鏡に写してもはっきりとは見えない。画面上でバーチャルフィッティングができれば、その問題が解消される。これが第1の利点だ。
もう1つ、岩城氏が「これが一番好評」と話すのが、レンズの色をさまざまに変えられること。通常は、右下写真の奥に見えている色付きレンズのサンプルから好みの色を選んでいくのだが、実際にかけた様子を確認することは当然できない。バーチャルフィッティングでは、気に入ったフレームのレンズの色を自由に変えられるため、イメージがつかみやすいのだ。
来店客に最も好評なのが、レンズの色を自由に変えられること。従来は、写真奥のサンプルで選ぶしかなかったが、「バーチャルフィッティング」だと現実に近いイメージが確認できる |
ちなみに、アリオ西新井店の店内には、およそ1500点の商品が並んでいる。特に年配の来店客からは、歩き回りながら試着を繰り返すよりもカウンターに座ってじっくりと選べるバーチャルフィッティングを支持する声があるという。もちろん、最終的には実物を試着して購入を決めるが、「お客様との話が盛り上がり、お薦めの商品の話もしやすい。良い接客ツールになっている」(岩城氏)という。