NTTデータ経営研究所を代表機関とする11機関が、2023年1月より高知県安芸郡北川村においてローカル5Gを用いたスマート農業実証プロジェクトを開始する。
参画するのは、一般社団法人日本の農村を元気にする会、NTTコミュニケーションズ、日鉄ソリューションズ、エムスクエア・ラボ、北海道大学、高知県安芸農業振興センター、高知県農業協同組合、土佐北川農園、高知県安芸郡北川村、高知県安芸市。2022年8月に、総務省の令和4年度「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」および農林水産省の令和4年度「スマート農業産地モデル実証(ローカル5G)」の採択を受けた。
本実証事業の実証フィールドは、高知県安芸郡北川村および安芸市のゆず農園。北川村内のゆぶ農園はローカル5GまたはLTEを、安芸市内のゆず農園ではローカル5Gを活用してソリューション検証を行う。
検証を行うのは、以下の3つのソリューションだ。
1つは、4K360°カメラやスマートグラス等のIoT機器を活用したモバイルムーバー(運転台車)を用いた自動防除ソリューション。農薬散布用ホースおよび草刈り用アタッチメントを装着し自動運転させることで、防除・草刈り作業を自動化する。車両に取り付けた4Kカメラの高精細映像を、ローカル5Gネットワークを介して遠隔監視制御拠点へ伝送し、オペレーターが遠隔で監視する。
モバイルムーバーを用いた自動防除ソリューション
2つめは、スマートグラス等を用いた新規就農者遠隔指導ソリューションだ。
圃場に設置した4K360°カメラの高精細映像をリアルタイムに伝送する「バーチャル圃場訪問システム」により、新規就農希望者向けイベント会場等の遠隔地にいる人々が仮想的にゆず栽培圃場へ訪問できるようにする。また、スマートグラスを装着した複数の新規就農者が、ローカル5Gネットワークを介して遠隔指導拠点にいるベテラン従事者から一度に
指導を受けられるようにする「遠隔指導システム」により、効率的な指導を行う。
バーチャル圃場訪問システム(上)と遠隔指導システム(下)のイメージ図
3つめは、自動防除・新規就農者遠隔指導のシェアリングサービス。生産者が上記2つのソリューション等を導入する際の負担を軽減するため、モバイルムーバーやスマートグラス等の機器を複数の生産者で共同利用し、サービス事業者が自動防除時の遠隔監視や遠隔指導パッケージの提供などを担う「シェアリングサービス」の実証を行う。
自動防除ソリューションのシェアリングのイメージ図
本実証事業では、上記3つのテーマで課題実証を行い、ゆずの生産コストの低減、新規就農者の確保及び育成を目指す。また、ローカル5Gの「電波伝搬モデルの精緻化」「エリア構築の柔軟性向上」についても、技術実証として取り組むという。