IIJ、1枚のSIMで複数の携帯電話網に接続できるマルチプロファイルSIMを開発

IIJは2022年10月25日、1枚のSIMカードで複数の携帯電話網に接続可能なマルチプロファイルSIMを開発し、IoTソリューションを提供するコネクシオとのPoCを開始すると発表した。

マルチプロファイルSIMは、1枚のSIMカードの中に、IIJに加えて別の通信事業者のプロファイル(携帯電話網に接続するための情報)を保持しており、端末機器からのコマンドにより、利用するプロファイルを自由に切り替えることができる。これにより、通信障害時にサーバーとの通信不能を検知した端末機器がSIMカード内のプロファイルを切り替え、異なる携帯電話網に接続することで通信を確保することが可能だ。

マルチプロファイルSIMのイメージ

マルチプロファイルSIMのイメージ

近年発生した携帯電話網の障害では全国的かつ長時間に及ぶ通信の混乱が発生している。これに伴い、携帯電話網を利用しているIoT機器や電子決済端末などの利用が困難になり、社会的に大きな問題となった。こうしたなか、障害時でも通信を確保する技術の活用が求められている。

障害時に通信を確保する方法として、異なる携帯電話網に対応した複数のSIMカードを機器に搭載するデュアルSIMがあるが、機器に複数のSIMカードを組み込むためにSIMカードを取り付けるSIMスロットを複数個用意する必要があり、ハードウェアの設計変更が必要なだけでなく、部品のコストや基板上の実装面積の点で高いハードルがある。これに対し、マルチプロファイルSIMは、SIMカード1枚で複数の携帯電話網を切り替えて利用できるので、ハードウェアの変更は不要。端末機器に搭載されたプログラムから簡易なコマンドを送るだけでプロファイルの切り替えが可能なため、ソフトウェアの小規模な改修で既存端末を対応させることができる。

また、携帯電話ローミングの技術を用いることで、1枚のSIMで複数の携帯電話網に接続する方法もあるが、ローミング技術では、当該SIMカードにプロファイルを提供するローミング事業者が運用する加入者データベース(HLR/HSS)が正常に動作しなくなるような障害が発生した場合、すべての携帯電話網を利用することができなくなる。その点、マルチプロファイルSIMではそれぞれのプロファイルの加入者データベースは独立していることから、片方のプロファイルを管理する加入者データベースに障害が発生している場合でも、もう片方のプロファイルに切り替えて通信を継続することが可能だ。

ローミング技術との違い

携帯電話ローミング技術との違い

ローミング接続のサービスは利用料が高額になりがちだが、ローミング接続ではないIIJプロファイルをメインで選択することで、リーズナブルな料金で利用できるという。

マルチプロファイルSIMは、IIJの法人向けMVNO通信サービス「IIJモバイルサービス」活用ソリューションとして提供する予定。また、IoTソリューションの提供事業者と連携したサービス開発・提供についても積極的に進めていくとしている。

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