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<特集>宇宙通信で変わる未来

ソフトバンクの“非地上”作戦 衛星通信がLTE並に、月500円以下のIoT向けも

文◎原田果林(編集部) 2021.09.06

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ソフトバンクはHAPSや衛星を活用した通信サービスの展開を国内外で強化する。LTE並みの速度が出るブロードバンドサービス、月額500円以下のIoT向けサービスなど、従来の衛星通信のイメージを覆す。

 
ソフトバンクは今年5~6月にかけ、非地上系ネットワーク(NTN)ソリューションに関する発表を立て続けに行った。

まずはOneWebとの日本およびグローバルでの衛星通信サービスの展開に関する協業だ。いったんは破産申請したOneWebだが、英政府とインドのバーティ・グローバルに買収されて再起し、ソフトバンクグループも2021年1月に再投資している。2つめは、IoT向けナローバンド衛星通信サービスを提供するSkylo Technologiesとの協業だ。

ソフトバンクは近年、HAPS(高高度擬似衛星)を用いたNTNに、子会社のHAPSモバイルとともに特に力を注いできた。それが今回相次いで2つの協業を発表した背景には、HAPSモバイルでは埋められない次のポイントがあったという。

「1つは時間の問題だ。HAPSモバイルは2027年の商用サービス開始をターゲットにしているが、それまでにインターネットの必要性は世界中で今以上に高まっていくだろう。その6年の間を埋めるためにも他のソリューションが必要だと考えた。もう1つは提供エリアだ。HAPSは1機で直径200kmと地上基地局と比べると非常に広範囲なエリアを構築できる。だが、例えば海や空の上など、より広いエリアをカバーしていくには衛星が必須になる」。ソフトバンク グローバル事業戦略本部 本部長の北原秀文氏はこう説明する。

 

ソフトバンク グローバル事業戦略本部 本部長 北原秀文氏
ソフトバンク グローバル事業戦略本部 本部長 北原秀文氏


月額500円以下のサービスもOneWebが提供するのは、低軌道衛星コンステレーションによるブロードバンドサービスだ。これまでに254機の衛星が打ち上げられており、下り200Mbps/上り30MbpsとLTE並の速度を実現している。飛行機のWi-Fiサービスに現在用いられている静止衛星は地上から3万6000km離れたところにあるが、OneWebの低軌道衛星は地上1200kmにある。このため低遅延で「地上の基地局と何ら変わりない通信環境を提供できる」。

受信用端末も、従来の静止衛星で使われているものより安価かつ設置が簡単だという。ユーザーには「iPadの2.5倍ぐらい」のフェーズドアレイアンテナが配られる。

「ポンと設置すると、衛星がある方角を自動で計算、追尾してすぐ使える状態になる。また漁船や飛行機に積まれている静止衛星のアンテナは大体60~70万円と高額だが、OneWebはその数分の1の価格で提供可能だ」

ターゲットは政府や自治体、企業、一般コンシューマーだが、なかでも需要を見込むのが海洋産業。ほとんどの船には未だインターネット環境がないからだ。すでに、造船会社や海運業者から引き合いが来ており、具体的な話が進んでいるという。

携帯電話基地局のバックホール回線として利用する構想もある。

サービスインは北緯50度以上の地域では2021年末から、日本を含めたグローバルでは2022年の第3四半期から第4四半期を予定している。

Skyloは、静止衛星を用いて通信サービスを提供する。速度は20kbpsで、遅延も多い。このため1日1回データをアップロードするようなIoT向けのサービスとなっている。

注目すべきはその価格だ。

「月額500円以下で提供できる。普通なら10~20万円する端末も、数万円以下と1~2桁安くなる。今まで衛星通信に興味はあっても価格面で手を出せなかった企業や、産業に訴求できる」

Skyloは、昨年からインドでサービスインしているが、「日本などではテクノロジーの準備はできているが、規制をクリアする手続きに時間を要していて、2022年中ごろにサービスを開始できると思っている」。

 

図表1 ソフトバンクのNTNソリューションの概要

図表1 ソフトバンクのNTNソリューションの概要

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