企業ネットワーク最前線

<特集>ローカル5G中間報告

ローカル5Gの普及阻む4つの壁(中編) クラウドコアとSAの現状と課題

文◎坪田弘樹、村上麻里子(本誌) 2020.09.07

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

コストが高い、運用が難しい――など、まだまだ課題の多いローカル5G。だが、解消に向けた技術開発も急ピッチで進んでいる。普及の鍵を握る4つのテーマについて現状と展望をレポートする。中編では「クラウドコア/SA」にフォーカスする。

コアネットワークはSaaS型で小さく始める
「ローカルに基地局設備(RAN)だけを置いて、コアはクラウドで提供するモデルが中心になっていく」

NEC 新事業推進本部長の新井智也氏は、ローカル5Gシステムの構成についてそう予想する。2019年度から同社が行っている実証でクラウドコアへのニーズの高まりを感じており、「RAN設備もNECが持ち、マネージド型で使いたいという期待も高い」。初期コストを抑え、かつユーザーの運用負荷も軽減できるマネージドサービスの提供を検討している。

こうしたクラウドモデルにより、スモールスタートが容易になる。基地局数やデバイス数に応じた月額課金で設備が使えれば、ユーザー数の増減に応じてコストを適正化できる。

 

 

NEC 新事業推進本部 本部長の新井智也氏
NEC 新事業推進本部 本部長の新井智也氏


コンテナ化で「より小さく」クラウドコアの具体的な導入・運用モデルとメリットについて、NECが提供している「SA型5Gモバイルコア」を例に見ていこう。なお、同製品はEPC機能も備えており、NSA構成での利用も可能だ。

クラウドコアの第1のポイントとして「マルチプラットフォーム対応である」ことを挙げるのは、NEC ネットワークサービスBU 第二ネットワークソリューション事業部 事業部長代理の田口広志氏だ。プライベート環境でもパブリッククラウドでも動作し、環境を選ばず使える柔軟性を備えることで、ローカル5Gの普及はより加速する。

 

 

NEC ネットワークサービスビジネスユニット 第二ネットワークソリューション事業部 事業部長代理の田口広志氏

NEC ネットワークサービスビジネスユニット 第二ネットワークソリューション事業部 事業部長代理の田口広志氏



さらに、NECは「マイクロサービス、コンテナ技術を使ってクラウドネイティブ化する」(同氏)ことで5Gコアの拡張性も高めている。

最大の利点は、「VM(仮想マシン)と比べて、より小さく始められる」ことだ。コンテナはVMよりも構成単位が小さくなるので、スモールスタートがしやすくなる。

3つめのポイントは、コントロールプレーン(CP)とユーザープレーン(UP)の分離だ。これにより、柔軟な機能配備が可能になる。(1)CP/UPともにクラウド上に置く、(2)CPはクラウドで動かしUPはローカルに置く、どちらの構成も可能だ。

1端末月数百円でスタート?(2)の形態を容易に実現するためのソリューションとして、NECではUPF(UP機能)をアプライアンスとして提供する「U-Plane装置」も用意している。「企業でも使いやすい小型ルーター型からキャリア向けの大規模モデルまでラインナップを揃える」(田口氏)。データ量が増えた場合は、装置数を増やすことで拡張できる。

構成を示したのが図表1だ。クラウド上のCPと基地局間では制御信号のみがやり取りされるので、ユーザーデータはクラウドを経由せず既存業務システム等に送ることが可能だ。なお、U-Plane装置は汎用ハードをベースにしたもので、内部でエッジアプリケーションを動かしたり、トラフィックを監視・制御するソフトウェアを稼動させたりすることもできる。

 

 

図表1 NEC SA型5Gモバイルコア/U-Plane装置の活用イメージ

NEC SA型5Gモバイルコア/U-Plane装置の活用イメージ

 

 

NECは、このクラウドコアの機能を月額課金モデルで提供するサービスを計画中だ。詳細は未定だが、「加入者単位で月額数百円」といった課金体系を検討しているという。

他にRAN設備の費用がかかるとしても、初期コスト数千万円でシステムを構築するのに比べればハードルは一気に下がる。運用の大部分もNECに任せられる。

「オンプレミスも否定しないが、クラウド型はかなり有望」と田口氏。2020年内の提供開始を目指して準備を進める。このクラウドコアを使って、SIer等が独自のSaaSサービスを提供することも可能だ。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

スペシャルトピックスPR

microfocus2009
hitec2009
empirix2009

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】CPS/デジタルツインと
        エッジコンピューティング

●融合する現実世界と仮想空間 ●IOWNでヒトもデジタル化 ●CPSが製造業の切り札に ●エッジAIの実装入門 ●ドコモとNTT東に聞く“キャリアのエッジ”

[インタビュー]情報セキュリティ大学院大学 後藤厚宏学長「サイバー大災害はあり得る セキュリティの自給構造を」 [ソリューション特集]IDaaSのメリットと使い方 【IoT×SDGs】IoTを活用した環境移送技術で、サンゴを絶滅から守る 【技術&トレンド】AIがRANを進化させる日 ほか

>>詳しい目次を見る

スペシャルトピックス

NVIDIA EGXエッジAIの最適解はGPUにあった!

NVIDIA EGXでエッジコンピューティングの課題を解決し、「スマートエブリシング革命」の実現を!

IDaaSクラウド時代の新常識! 今こそIDaaSを導入すべき3つの理由

クラウドを活用するなら、ID/アクセス管理もクラウドに!

ローデ・シュワルツローカル5Gの測定ニーズの
全てに応えるローデ・シュワルツ

設備構築時の干渉調査・エリア確認、運用開始後の管理までカバー!

MOVEit「パスワード付き圧縮ファイル」
にはもう頼らない!

多様なニーズに対応したファイル転送の姿とは?

Gigamonコロナ禍による通信量の増大に対応

モニタリング、セキュリティ装置の負荷軽減や運用効率化を実現するGigamon社の先進的なL1スイッチ!

ネットスカウトシステムズNWを堅牢にしながらDDoS対策も
ニューノーマルのセキュリティ対策

テレワークのセキュリティと可用性を同時に高める方法があった!

マイクロフォーカス通信キャリアの運用監視をDX

HPEのソフトウェア部門を統合したマイクロフォーカスに、通信キャリアの課題と解決策を聞いた。

tcs-8500遠隔診療がWeb会議でいいはずない!
ノイズなし4K映像伝送を低価格で

医療現場で求められる高画質・低遅延を1台で実現する「TCS-8500」

エンピレックス通信事業者にワンランク上の可視性を

5G時代、キャリアは運用の一層の効率化を迫られるが、クラウドネイティブならトータルコストも削減できる!

KDDIどうする? テレワーク移行時の意外な盲点「固定電話」の取り次ぎ

「固定電話の番のためだけに出社」から脱却するには、何が必要だろうか。

Tocaro仕事を終わらせるビジネスチャット

CTCのビジネスチャット「Tocaro」は、豊富な機能により、プロセス管理や生産性向上も実現できる。

Cisco Meraki Z3全社員が在宅勤務可能な環境をCisco Meraki Z3でシンプルに即実現

<導入事例>検証から実導入までを驚くほどのスピードで!

キーサイト・テクノロジー光集積デバイスに必要なスピーディ
かつ高確度の測定を実現

1Tbpsの次世代光の確立へ、光集積デバイスに最適な光測定製品!

マイクロフォーカス岐路に立つ通信事業者の運用管理
属人・サイロ化から脱却するには?

通信事業者の運用管理に、マイクロフォーカスが"特効薬"を提供する!

シスコシステムズいま知るべき5Gのセキュリティ脅威
大変革時代を「シスコはこう守る」

5G網は様々なサイバーリスクを内包する。シスコはどう対抗するのか。

ホワイトペーパー

アクセスランキング

tc_banner191122

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2020 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます