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5Gで実現する「周波数共用」 ひっ迫する電波資源の“救世主”となるか

文◎村上麻里子(編集部) 2020.07.17

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有限の資源である周波数。すでにひっ迫しつつあるが、5GやIoTではより多くの周波数が必要となる。その解決策となりそうなのが、「ダイナミック周波数共用」だ。いよいよ国内でも実用化される。

 
「周波数は限りある資源」――。こうした言葉を一度は耳にしたことがあるだろう。

近年、携帯電話やWi-Fiをはじめ、IoT向け通信、ドローンネットワークなど無線の用途が拡大している。すでに多くのシステムに周波数が割り当てられており、周波数資源は限界を迎えつつある。

このため、5Gの周波数割当では今までにない変化が起きている。

従来、携帯電話に新たな周波数を割り当てる際、対象となる帯域を利用している無線システムがあれば、別の帯域に「引っ越し」してもらうことで対応していた。ところが、5Gで携帯電話事業者4社に割り当てられた3.7/4.5/28GHz帯のうち、一部の帯域については既存免許人である衛星通信事業者との共用となっている。昨今の急激なトラフィックの増加に伴い周波数がひっ迫しており、「引っ越し先」を見つけることが難しくなったのが理由だ。

今後IoTやAIが本格化すれば、無線通信の用途はますます広がると予想される。4K/8Kなど高精細映像をやり取りするニーズも高まると見られ、高速・大容量通信を実現するための広い帯域幅が必要となる。

こうしたなか、無線通信用の周波数をさらに確保していくには、もっと大胆な周波数共用が不可欠だ。そこで異なる無線システム間で地理的・時間的に周波数を柔軟に共用できるようにする「ダイナミック周波数共用」の取り組みが進んでいる。

2021年度の実用化を目指すダイナミック周波数共用は、海外で先行している技術だ。

米国では、3.5GHz帯において信号検出方式による海軍艦船レーダーと無線アクセスとの周波数共用が行われている。

沿岸部に設置されたセンサーからなる電波環境検知(ESC)システムが海軍艦船レーダーの信号を検知し周波数アクセスシステム(SAS)に通知。SASは電波伝搬などを勘案した干渉計算を行い、海軍艦船レーダーに干渉を与えないよう市民ブロードバンド無線サービス(CBRS)デバイス(CBSD)の利用周波数や出力などを変更する(図表1)。

 

 

図表1 SAS/ESCの調整下でのCBRS周波数割当の概念図

図表1 SAS/ESCの調整下でのCBRS周波数割当の概念図

 

 

欧州では2.3-2.4GHz帯を対象に、データベース型による既存免許人(軍用レーダー、ワイヤレスカメラなど)とLTEの共用(Licensed Shared Access:LSA)が提案されている。イタリアやフランス、フィンランドなどで実証実験が行われたが、当該帯域を民間利用できない国もあるため欧州全体では停滞気味だった。

そこでLSAの対象を他の周波数帯にも拡張し、ローカルエリアで使うことを目的に、工場の自動化や遠隔医療などバーティカル産業セクターを対象ユーザーとするeLSA(evolved Licensed Shared Access)の技術標準検討が進んでいる。

「既存免許人に割り当てられているものの利用頻度が低かったり利用エリアが狭く、しかも当該帯域がグローバルバンドとして国際的に配分されている場合、SASまたはLSA/eLSAを利用した共用は、バーティカル産業の電波利用ニーズに応えるためにも有効なツールとなりうる」と一般財団法人マルチメディア振興センター ICTリサーチ&コンサルティング部シニア・リサーチディレクターの飯塚留美氏は指摘する。

国内では、2018年8月に公表された総務省「電波有効利用成長戦略懇談会」報告書において、「2020年代に向けた電波有効利用方策の検討」に「共用を前提とした割当て」が盛り込まれたのが始まりだ。

その後、2019年12月の有識者による追加提言では、ダイナミック周波数共用の実用化に向けた制度整備の必要性が指摘された。これを受けて今年2月、ダイナミック周波数共用システムの運用業務を電波法上の指定法人である電波有効利用促進センターの業務に追加することを含む電波法改正案を通常国会に提出、4月に成立した。総務省では2021年度の実用化を目指している。
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