StarlingXは5G vRANの基盤になるか? クラウド技術をネットワークエッジへ

エッジコンピューティング向けのオープンソースプロジェクトが次々と発足している。なかでも注目されるのが、5G vRANやMECといった通信事業者インフラをターゲットにしている「StarlingX」だ。

世界中で5Gネットワークの構築が進むなか、それと並行して、通信事業者インフラにさらなる革新をもたらす仮想基地局(vRAN)やMEC(マルチアクセスエッジコンピューティング)のトライアルが行われている。

vRANもMECもともに、ネットワークのエッジに汎用ハードウェアをベースとしたコンピューティング環境を置き、その仮想基盤上でネットワーク機能やアプリケーションを実行するものだ。

これを実現するためのカギは2つある。キャリアグレードの性能と可用性を担保すること。そして、分散するエッジの運用やアプリの展開・管理をいかに効率化するかだ。この“エッジクラウド”の運用には、普通のクラウドとは異なる技術と手法が求められる。

キャリアNFVの技術を注ぎ込むこれに挑むオープンソースプロジェクトがある。OpenStack Foundationに属し、エッジにクラウド環境を展開するための技術を確立しようとする「StarlingX」だ。

NFVインフラ向けソリューションを提供するウインドリバーが開発した「Titanium Cloud」をオープンソース化したもので、通信事業者インフラや、エッジコンピューティングのユースケースの1つであるファクトリーオートメーション(FA)で求められる高可用性、時刻同期の仕組みを備えているのが特徴だ。ウインドリバー 営業技術本部 第一営業技術部 シニアエンジニアの小宮山岳夫氏はStarlingXの位置付けと目的を次のように話す。

「OpenStackで高可用性を実現しようとすると、追加しなければならない要素が多く難しい。そこで、通信事業者のNFVで得たノウハウと技術を基にエッジ向け仮想基盤としてイチから作ったのがTitanium Cloudだ。今後はオープンソースのStarlingXをベースに開発が進み、その商用版としてTitanium Cloudを提供する」

ウインドリバー 営業技術本部 第一営業技術部 シニアエンジニア 小宮山岳夫氏
ウインドリバー 営業技術本部 第一営業技術部 シニアエンジニア 小宮山岳夫氏

ウインドリバーは富士通と共同で、プライベートLTEやローカル5Gを想定した仮想ソフトウェア基地局を開発。また海外では、テレフォニカ等がTitanium CloudをvRAN/MECへ適用するための検討を行っている。

ウインドリバーと富士通が共同で開発する仮想ソフトウェア基地局
ウインドリバーと富士通が共同で開発する仮想ソフトウェア基地局。
Titanium Cloudを使い、汎用サーバーにEPCと基地局ソフトを実装した

月刊テレコミュニケーション2020年1月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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