国交省、スマートシティ先行モデル事業を選定 MaaSやIoTでSociety 5.0へ

スマートシティの実現に向けた取り組みが加速している。国土交通省は5月31日、スマートティモデル事業において先行モデルプロジェクトを選定。プロジェクトを支援するため、総務省、内閣府と連携した。こうした連携と取り組みの強化を図るため、総務省は6月4日、「スマートシティ推進フォーラム」を開催した。

国土交通省は2019年5月31日、スマートシティモデル事業において、先行モデルプロジェクトを選定した。総務省のデータ利活用型スマートシティ推進事業、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)と連携し、選定したプロジェクトに支援を行う。こうした連携が進む中で、総務省は6月4日、スマートシティの取り組みの加速化と機運の醸成を図る目的で、内閣府、国土交通省、日本経済団体連合会と共催で「スマートシティ推進フォーラム ~Society 5.0時代の都市・地域づくりへ~」を開催した。

主催者挨拶で石井啓一国土交通大臣は、「スマートシティはSociety 5.0実現の中核となる取り組みであり、官民の英知を結集して推進することが必要。移動、物流、インフラ、街づくりなどの様々な分野のデータと新技術を掛け合わせる分野横断的な取り組みを実施することで、個別分野の解決策に留まらず、都市全体の最適化を目指すスマートシティ政策を本格的に展開していく」と語った。


石井啓一国土交通大臣

続けて、国土交通省のスマートシティモデル事業の先行モデルプロジェクトの中から、千葉県柏市、栃木県宇都宮市、愛知県春日井市の取り組みが紹介された。同事業の応募数は当初想定していた20を大幅に超え、73のコンソーシアムから応募があったという。「スマートシティに対する関係者の関心の高さと熱意を実感した」(石井氏)

3市で共通していたのがMaaSの展開だ。柏市は柏の葉キャンパス地区という、研究施設や大学がある人口増加予定のエリアに自動運転バスの運行を予定しており、MaaSを見据えて地域内移動データを収集・把握・予定し、交通計画やサービスを構築する。


柏市のモビリティ分野の取り組み

反対に、人口減少・高齢化が進む春日井市では、路線バスの運行本数減少などにより、免許返納後の移動手段に不安を抱えた高齢者が多い。そこで産学連携による、自動運転を含む新たなモビリティサービスを導入。「限定区域内ラストマイル自動運転」は自宅からバス停、スーパーなどファースト・ラストマイルの短距離移動を想定している。MaaSアプリによる事前予約で、区域内の乗降ポイントで乗降するという。


春日井市の「新たなモビリティサービスによる移動支援」

宇都宮市は観光で栄える大谷地域を目的地とする観光型MaaSの導入を予定。観光施設と距離が離れた駐車場間を、自動運転バスで送迎する計画だ。


宇都宮市は、同市で稼働中の電動バス「グリーンスローモビリティ」の自動運転化を予定している

また、各市はセンサーやAIカメラから環境や人の流れなどのデータを収集・分析し、街づくりに活用する。

柏市では、太陽光発電の発電性能状況をIoTデバイスとLoRaWAN通信を使って管理するという。また、公共空間にAIカメラやセンサーを設置し、収集したデータは公共空間の管理・開発やマーケティング、混雑状況の提供や防犯などに役立てる。


柏市のパブリックスペースでの取り組み

宇都宮市はNECと共同で、顔認証技術を活用して滞在者の行動データを収集。施設への顔パス入場や混雑予測による誘導ルート設定等に利用する想定だという。


宇都宮市のICTを活用した「スマートなおもてなし」イメージ

春日井市では、Wi-Fiセンサーで施設滞在者数を把握するほか、KDDI総合研究所と共同で携帯電話基地局データからメッシュ別移動・滞在者数を収集・分析する。人だけでなく、自動運転車両やバス、タクシー等の車両位置情報の収集も行う。


春日井市のデータ収集・活用方針

先行モデルプロジェクトには、今回紹介された他にも、AIやドローンを活用した農作物の育成や人口低密度集落への生活物資の配送、LPWAを活用したインフラ維持管理や地域見守りシステムの導入など、全部で15のコンソーシアムの取り組みが選定されている。

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