企業ネットワーク最前線

過疎地の固定電話は「無線」で――NTT東西が推進するアクセス網の構造改革

文◎藤井宏治(IT通信ジャーナリスト) 2018.09.20

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

NTTは、過疎地の固定電話を効率的に提供するため、携帯電話網などの無線を活用する検討をスタートさせる。固定電話のIP化を機にアクセス網の構造改革に向けた議論が加速してきた。

 
NTT持株の澤田純新社長、NTT東日本の井上福造新社長は、山間部などの過疎地の固定電話(加入電話)について、携帯電話網などの無線を活用して効率化する検討を進める考えをメディアに明らかにした。NTT東西合計で、年間約800億円にも及ぶ加入電話の赤字縮小が狙いだ。

「ユニバーサルサービス」として全国あまねく提供することがNTTに義務付けられている加入電話。その契約件数は、携帯電話の普及などを背景に、ピーク時の約3分の1となる1754万契約まで減少している。加入電話を維持するには、保守・運用コストの削減が不可欠だ。

2025年1月に完了するPSTNのIP網への移行も、ネットワークコスト削減の重要な手立ての1つとなる。だが、IP網への移行後も、変換装置を介すことで、既存のアナログ電話機がそのまま利用できる「メタルIP電話」は提供される。光回線とメタル回線は併存したままだ。特に利用者の少ない山間部などのメタル回線の維持コストをいかに削減していくかは、NTTにとって大きな経営課題であるが、そこで有力視されているのが携帯電話網などの無線の活用である。

PSTNのIP網への移行方法を検討している情報通信審議会の「電話網移行円滑化委員会」は、2017年3月と9月の2回にわたって取りまとめた報告書で、無線や光回線を用いて加入電話を提供するために必要な論点整理を総務省に求めている。この議論に向けて、NTTは具体策の検討に動き出した。

 

図表1 IP網移行後のアクセス回線
図表1 IP網移行後のアクセス回線


コスト低減の有力解NTTが実現に意欲を見せる携帯電話網などの無線を活用した加入電話サービスは、どのようなものになるのか。

NTT東日本で経営企画部 営業企画部門長を務める徳山隆太郎氏は、「具体的な内容はまだ決まっていない」とするが、NTTが昨年6月に電話網移行円滑化委員会に提出した資料には、その原型ともいえる提供イメージが示されている(図表2)。

 

図表2 モバイル網を活用した固定電話サービスのイメージ[画像をクリック拡大]
図表2 モバイル網を活用した固定電話サービスのイメージ


NTT東西固定網とモバイルのデータ通信網を接続し、電話サービスを提供するというものだ。その端末としては、アナログ電話機やファクシミリを接続して利用する「SIM内蔵アダプタ」とともに、「SIM内蔵電話機」の利用を想定している。

この網形態を前提とすると、携帯電話網の活用は、過疎地域での加入電話の提供手段としてかなり魅力的なものとなる。

音声通信のデータ量は限定されるので、仮にモバイルのデータ通信網を現行のMVNOと同水準で借りられるとすれば、IP網への移行後のメタルIP電話と同じ、全国一律3分8.5円という通話料金も実現できそうだ。

携帯大手3社のLTE網は人口カバー率が99.9%を超えており、山間部の集落の大半でサービスを提供することが可能だ。携帯電話網でカバーできないエリアのユーザーは別の方法で収容する必要が出てくるが、それでもトータルでの提供コストはメタル回線を維持するより抑えることができるだろう。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

スペシャルトピックスPR

ribbon1809
sas1808
necaspire

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】エッジコンピューティング最新案内
<Part1>モバイルキャリアが描くエッジ活用 <Part2>NTT東日本のエッジ拠点に潜入 <Part3>MEC標準化の最新動向 <Part4>AWSとAzureのエッジコンピューティング戦略 <Part5>製造業IoTを加速するEdgecross <Part6>エッジコンピューティングを支えるネットワーク

[インタビュー] ●ネットワンシステムズ 荒井透社長COO 
[ビジネス最前線]●SD-WAN×セキュリティで攻勢/●Ubiquitiが仕掛ける価格破壊 [技術&トレンド]●気づかぬ間に給電 [商品特集]●ネットワーク監視/●次世代FW

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー

スペシャルトピックス

ゾーホージャパン低価格フローコレクターで
シスコ機器を使い倒そう!

シスコ機器が備えるNetFlowやIP-SLAを活用し、きめ細やかな監視を!

リバーベッドテクノロジーアプリの体感品質を可視化 そのトラブル解決に留まらない効果とは?

「SaaSのレスポンスが遅い」。IT部門の悩みをリバーベッドで解消!

ライトL3スイッチ「SWX3100-10G」行き詰まる小規模NWを変革しよう

高価なレイヤ3スイッチには手が出ないが……。そんな悩みに、新たな選択肢をヤマハが提供する。

IntelligentAVAIエンジンで未知の脅威も自動検知

ウォッチガードのUTMに、マシンラーニングでマルウェアを検知する「IntelligentAV」機能も加わった。

Gigamon通信事業者での採用実績多数!
セキュリティ機器コストも大幅削減

今注目のネットワークパケットブローカー。そのNo.1メーカーとは?

PRTG Network Monitorネットワーク監視を簡単スタート!

NW監視の重要性は分かっているが、人材も予算も不足――。そんな企業に知ってほしいのが「PRTG」だ。

Big Switch Networksウンザリする運用管理とサヨナラ

大量のスイッチを個別に設定・管理する従来型NW運用を、Big Switch NetworksのSDNで革新しよう!

ユニアデックス次世代のネットワーク運用とは?

先進企業はもう始めている「Big Cloud Fabric」によるネットワーク運用変革を事例に学ぶ。

リボン・コミュニケーションズ多様なリアルタイムコミュニケーションでシームレスな通信を実現!

SBCを強みとする2社が合併して誕生したリボン・コミュニケーションズ

SAS Institute Japanデータ解析、もうやり尽くしたと思うのはまだ早い

さらなる品質改善やコスト削減を実現したあの先進企業とは?

潜伏する脅威をAIが検知!
産業用制御システムやIoTも守備範囲

日商エレクトロニクスのセキュリティ対策が“新ステージ”に突入する!

リボン・コミュニケーションズTeamsの電話機能にいち早く対応
UCを狙ったサイバー攻撃対策も

Microsoft TeamsとPSTNをつなぐリボン・コミュニケーションズ

UNIVERGE Aspire WX電話やUC機能を全方位にカバー
中小企業の多様な働き方を強力支援

NECが5年ぶりの中小向けキーテレフォン「UNIVERGE Aspire WX」

F5ネットワークスセキュリティやGi-LAN仮想化など
モバイルインフラの強化に貢献

5G移行を控えた今、F5ネットワークスはどんな価値を提供できるのか?

アクセスランキング

tc1809
compass

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2018 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます