フランス生まれのIoTスタートアップ「“LPWA先進国”とアジアをつなぐ」

SigfoxやLoRaを育んだフランスと日本の合弁で誕生したインターポレーション。「欧州で実績のあるIoTソリューションをアジアに広げる」と話す代表取締役の左舘経明氏に、欧州のIoT事情と戦略を聞いた。

――事業内容と提供しているサービスについて教えてください。

左舘 デバイス/ネットワークの管理、データ可視化、ストレージ管理等の機能を備えたIoTプラットフォーム「Interpolation Platform」を提供しています。顧客の8割は欧州ですが、現在はアジアでもビジネスを行っており、実証段階のプロジェクトが複数立ち上がっています。

我々が目指しているのは、IoTの領域で欧州とアジアをつなぐこと。それが徐々に形になりつつあります。

――左舘さん自身がフランス育ちで、会社も日仏の合弁で設立されました。フランスのIoTの状況は。

左舘 フランスはLoRa、Sigfoxを育んだ国であり、LPWAの通信インフラを活用したIoTもすでに成熟しています。日本のIoTが実証レベルであるのと比べると数年の差があります。

日本人のイメージ通り、フランスはITに長けた国ではありません。しかし、我々のようなベンチャーにとっては、とてもビジネスがしやすい環境です。政府の方針もあって、IoTに関わるベンチャーだけでも数千社はいるのではないでしょうか。

そこで、IoTを活用したい日本やアジアの方々に、フランスはじめ欧州ですでに商業ベースに乗っているソリューションを提供しようとしています。とはいえ、商社になるつもりはなく、我々が開発したIoTプラットフォームに、欧州で実績のあるIoTデバイスとアプリケーションを組み込んで提供します。

画面上でデバイスを選ぶだけ――Interpolation Platformについて詳しく教えてください。

左舘 すべてブラウザベースで使えることが特徴で、IoTに必要な機能を一気通貫で提供します(図表)。

図表 Interpolation Platformの構成
図表 Interpolation Platformの構成

このプラットフォームは複数のモジュールで構成されています。「NOCXX」は、デバイス/ネットワーク管理を行うモジュールです。現在はLoRaに対応していますが、近々LTE-MやNB-IoT等の他のLPWA規格もサポートします。お客さまが自営のLoRaWAN網を構築するケースで使っていただくだけでなく、LPWA通信サービスを提供する事業者のインフラとの連携も進めています。

デバイス/ネットワーク管理ツール「NOCXX」の画面
デバイス/ネットワーク管理ツール「NOCXX」の画面

我々はInterpolation Platformに、欧州の様々なベンダーが開発・提供するLPWA対応デバイスとアプリケーションを次々と組み込んでおり、お客さまは画面上で使いたいデバイスとアプリを選ぶだけで、センサー等を簡単に接続してデータ収集を始められます。可視化ツールの「VIZIXX」も用意しています。

――どういったデバイス/アプリに対応しているのですか。

左舘 ガスメーターの検針等のエネルギー管理、物流向けの位置情報トラッキングなど、現時点で12業種向けのソリューションがあります。

今も毎日のように、我々のプラットフォームに組み込んで欲しいというベンダーがやってきています。彼らの多くがベンチャーであり、アジアに拠点を持っていませんが、我々と連携することで、自動的にアジアでビジネスが展開できるわけです。パリとスイスの開発拠点で検証・開発を行っており、年内に50業種まで増やしたいと考えています。

月刊テレコミュニケーション2018年7月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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