キーパーソンが語る

「社会インフラ×IoT」に確信――OKI 坪井常務インタビュー

聞き手◎太田智晴(編集部) 2018.08.01

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

OKI 常務執行役員
情報通信事業本部長 坪井正志氏

「社会インフラ×IoTという方向性は、間違っていないと確信している」――。「IoTのOKI」を目指す方針を掲げてから1年、OKI 情報通信事業本部長の坪井正志常務は、確かな手応えを感じているようだ。今年度はさらに5G関連ビジネスや、同社の強みの1つである海洋・音響技術を活用したIoTソリューションの取り組みも加速させる。

 
――「IoTのOKI」を目指すという情報通信事業本部の中期経営計画(以下、中計)を、昨年5月に打ち出してから1年が経ちました。

坪井 私どもは元々、社会インフラを構築されている公共・民間のお客様にソリューションを提供してきました。また、「IoT」という言葉が登場する以前から、公共向けを中心にセンシング技術、金融系を中心にデータ処理技術、創業時からの事業である通信ネットワークと、IoTの考え方で事業に取り組んできたわけです。そこで情報通信事業本部では「社会インフラ×IoT」を2019年度までの中計の軸に定め、「IoTのOKIと言われるくらいになろう」という目標を立てました。

――その目標に向かって、OKIはこの1年間、数多くのIoT関連の発表を行ってきました。「IoTのOKI」というイメージもだいぶ浸透してきた印象があります。

坪井 そうですね。「OKIは情報発信が弱い」と指摘されていたこともあり、情報発信にしっかり取り組もうと、お客様のシステムを請け負うだけではなく、自社企画型の商品にも力を入れてきました。

――昨年度に出したIoT関連の新商品をいくつか紹介していただけますか。

坪井 例えば、ネットワーク型超音波水位計があります。河川内に機器を設置することなく河川の上から水位を測れるセンサーで、河川が氾濫しても流されることがありません。また、サブGHz帯の省電力マルチホップ無線と太陽光パネルを組み合わせることで、完全にワイヤレス化できるので、工事費や維持管理費を大幅に削減できます。センサー系では他にも、光ファイバーセンサーやマルチビーム測深機などを昨年度に商品化しました。

IoTでは映像が重要なカギを握ると考えていますが、映像IoTゲートウェイの「AISION」もリリースしました。映像データを最大約1/10に圧縮できる機能と、顔認識や車両認識などの画像センシング機能を融合させたエッジコンピューターです。画像センシングとAI・アナリティクス技術により、レジの混雑予測などが行える店舗業務改善支援ソリューション「VisIoT」も販売開始しました。

中計で「最重点」領域に設定した交通関連では、車両プローブ情報を活用した民間向けITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)サービス「LocoMobi2.0」があります。また、人手不足が大きな問題となっていますが、AI対話エンジンを搭載し、銀行などで無人窓口応対を実現できるAIアシスト端末なども発表しています。

――以前と比べると、新商品のリリース数は格段に増えたのですか。


坪井 まったく違いますね。もちろん突然、商品を出せるわけではないので、技術の素養は十分にあったのです。ただ今までは個別にお客様に紹介するだけで、商品化は行わないケースが結構ありました。

なぜかというと、超音波水位計だけを単に発表しても、多くのお客様にとっては「よく分からないね」となるからです。しかし、例えばマルチホップ無線などと組み合わせ、「社会インフラの課題解決に寄与するIoTソリューションです」と説明すると、「なるほどね」となります。社会インフラ×IoTという軸を作ったことで、商品化しやすくなりました。

坪井正志氏


49社とIoTで共創中――IoT時代を迎えて、OKIが蓄積してきた技術資産を、今まで以上に活かせるようになったということですか。

坪井 まさにそうです。でなければ、この短期間にこれだけの数の新商品は出せません。

次々にIoT関連の新商品を投入できた大きな理由としては、私どもの企業規模も挙げられます。OKIぐらいのサイズの企業が、IoTでは一番有利なポジションにあると思っているのです。

IoTでは総合力が重要ですが、組織が大きくなると、どうしても縦割りの部分が出てきます。しかし、OKIくらいの企業規模だと、1つの組織でIoTに取り組めます。他方、OKIよりも小規模の企業の場合、今度は研究開発に十分な投資ができません。

――OKIは2016年4月に情報、通信、公共の3つの本部を情報通信事業本部に統合しています。

坪井 手前味噌になりますが、OKIには優れた技術が数多くあります。情報・通信・公共を1つの組織に融合したことで、様々な事業部の優れた技術をクロスさせた商品開発を加速させることができました。先ほど紹介した商品の中にも、複数の事業部にまたがって開発したものがいくつもあります。

――「クロスセル」も進んだのではないですか。

坪井 IoTアプリケーション推進部という部門横断のSE部隊を中心に、いろいろなお客様に水平展開できるようになりました。これは反省ですが、OKIは大変良いお客様をたくさん持っているのに、今までは活かしきれていませんでした。以前は金融のお客様には金融のソリューションしか紹介しないといったケースが多かったわけです。

しかし今は違います。様々なお客様にOKIの社会インフラ×IoTの取り組みを紹介しており、デジタルトランスフォーメーションへの関心が非常に高いこともあって、「一緒にPoC(コンセプト実証)をやろう」といった共創の話が数多く進んでいます。

私どもは1年前に①交通、②建設/インフラ・防災、③医療、④金融・流通、⑤製造の5つの注力領域を掲げましたが、例えば交通ではNEXCO東日本様や丸紅様、建設/インフラ・防災では住友林業様、大日本コンサルタント様、飛鳥建設様など、現時点で49社とIoTの共創中です。

収益面についても、情報通信事業本部は昨年度、いろいろと投資を行いながらも、計画通りの135億円の営業利益を確保することができました。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

著者プロフィール

坪井正志(つぼい・まさし)氏

1983年3月慶應義塾大学工学部管理工学科卒業後、同年4月沖電気工業入社。2002年4月マルチメディアメッセージングカンパニー・プレジデント。05年4月情報通信事業グループIPシステムカンパニー・プレジデント。08年4月グローバルビジネス本部長。09年4月OKIネットワークス取締役。11年4月通信システム事業本部企業ネットワークシステム事業部長。15年4月執行役員、同年10月ソリューション&サービス事業本部副本部長。17年4月常務執行役員 情報通信事業本部長(現職)

スペシャルトピックスPR

ribbon1809
sas1808
necaspire

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】エッジコンピューティング最新案内
<Part1>モバイルキャリアが描くエッジ活用 <Part2>NTT東日本のエッジ拠点に潜入 <Part3>MEC標準化の最新動向 <Part4>AWSとAzureのエッジコンピューティング戦略 <Part5>製造業IoTを加速するEdgecross <Part6>エッジコンピューティングを支えるネットワーク

[インタビュー] ●ネットワンシステムズ 荒井透社長COO 
[ビジネス最前線]●SD-WAN×セキュリティで攻勢/●Ubiquitiが仕掛ける価格破壊 [技術&トレンド]●気づかぬ間に給電 [商品特集]●ネットワーク監視/●次世代FW

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー

スペシャルトピックス

ゾーホージャパン低価格フローコレクターで
シスコ機器を使い倒そう!

シスコ機器が備えるNetFlowやIP-SLAを活用し、きめ細やかな監視を!

リバーベッドテクノロジーアプリの体感品質を可視化 そのトラブル解決に留まらない効果とは?

「SaaSのレスポンスが遅い」。IT部門の悩みをリバーベッドで解消!

ライトL3スイッチ「SWX3100-10G」行き詰まる小規模NWを変革しよう

高価なレイヤ3スイッチには手が出ないが……。そんな悩みに、新たな選択肢をヤマハが提供する。

IntelligentAVAIエンジンで未知の脅威も自動検知

ウォッチガードのUTMに、マシンラーニングでマルウェアを検知する「IntelligentAV」機能も加わった。

Gigamon通信事業者での採用実績多数!
セキュリティ機器コストも大幅削減

今注目のネットワークパケットブローカー。そのNo.1メーカーとは?

PRTG Network Monitorネットワーク監視を簡単スタート!

NW監視の重要性は分かっているが、人材も予算も不足――。そんな企業に知ってほしいのが「PRTG」だ。

Big Switch Networksウンザリする運用管理とサヨナラ

大量のスイッチを個別に設定・管理する従来型NW運用を、Big Switch NetworksのSDNで革新しよう!

ユニアデックス次世代のネットワーク運用とは?

先進企業はもう始めている「Big Cloud Fabric」によるネットワーク運用変革を事例に学ぶ。

リボン・コミュニケーションズ多様なリアルタイムコミュニケーションでシームレスな通信を実現!

SBCを強みとする2社が合併して誕生したリボン・コミュニケーションズ

SAS Institute Japanデータ解析、もうやり尽くしたと思うのはまだ早い

さらなる品質改善やコスト削減を実現したあの先進企業とは?

潜伏する脅威をAIが検知!
産業用制御システムやIoTも守備範囲

日商エレクトロニクスのセキュリティ対策が“新ステージ”に突入する!

リボン・コミュニケーションズTeamsの電話機能にいち早く対応
UCを狙ったサイバー攻撃対策も

Microsoft TeamsとPSTNをつなぐリボン・コミュニケーションズ

UNIVERGE Aspire WX電話やUC機能を全方位にカバー
中小企業の多様な働き方を強力支援

NECが5年ぶりの中小向けキーテレフォン「UNIVERGE Aspire WX」

F5ネットワークスセキュリティやGi-LAN仮想化など
モバイルインフラの強化に貢献

5G移行を控えた今、F5ネットワークスはどんな価値を提供できるのか?

アクセスランキング

tc1809
iot24

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2018 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます