ビデオ会議の“ユニコーン”が上陸――Skype for Businessからの乗り換えも続出

Skype for BusinessやCisco WebExを“食う”勢いで急成長しているビデオ会議ベンチャーの米Zoomが、いよいよ日本に本格上陸する。働き方改革が盛り上がる国内でも注目を集めそうだ。

ビデオ会議の市場で今、勢いのある企業と言えば、米Zoom Video Communicationsが筆頭に挙がる。

2011年創設ながら、ユーザーはすでに75万社(有償版のみ)を超えており、そのリストにはヒューレット・パッカードやSlack、Uber、Tesla、GAPなど超有名企業が名を連ねる。2017年1月にはセコイア・キャピタルから10億ドルの出資を受け“ユニコーン”の仲間入りを果たした。

業界での評価もうなぎのぼりだ。

ガートナーが市場セグメントごとにベンダーを格付けするMagic Quadrantでは、Skype for Businessを擁するマイクロソフト、Cisco WebEx/Sparkのシスコシステムズとともに「Leader」に選出されている。

(右から)Zoom Video CommunicationsでStrategic Alliances/Chief Happiness Officerを務めるHeather Swan氏、Altia Systems President & CEOのAurangzeb Khan氏、同社Dir.Sales & Business DevelopmentのJaved Tufail氏
(右から)Zoom Video CommunicationsでStrategic Alliances/Chief Happiness Officerを
務めるHeather Swan氏、Altia Systems President & CEOのAurangzeb Khan氏、
同社Dir.Sales & Business DevelopmentのJaved Tufail氏

日本オフィス開設も計画中Zoomが提供するのはWeb会議サービスだ。無償版があり、かつオンラインで簡単に使い始められることから、日本国内でもすでに相当数のユーザーを抱えている。

Web会議は差別化が難しく、かつ大手が君臨する市場でもある。そんな市場でZoomはなぜ急成長できたのか。理由は、社外の関係者とのコミュニケーションが容易に行えること、そして会議開催の手順が簡単なことだ。

会議の主催者がライセンスを保有していれば、顧客やパートナー等のライセンスを持たない人もゲストとして参加できる。ゲストは、主催者が会議を予約した際にメールで通知されるミーティングIDをクリックするだけで、Zoomクラウド上の仮想会議室にアクセスできる仕組みだ。

そのため、ライセンス保有のコストを抑えながら、不特定多数の相手と会議が行える。会議の相手が頻繁に変わるケースに適していることから、士業やコンサルティング、カウンセリングといった業種で顧客とのやり取りに活用する人も多い。

また、セミナー形式で映像・音声を配信する「ウェビナー機能」やチャット機能も備えており、通常の会議以外の用途にも使用可能だ。

映像・音声コーデックはZoomの独自仕様を実装し、回線や端末の状態を監視して、その変化に応じて通信プロトコルを切り替えるなどの手法によって品質と安定性を担保している。狭帯域な回線でも利用できる点を支持するユーザーも多い。

また、会議IDや参加者情報の漏えい、通信の盗聴等を防ぐ機能も充実しており、パロアルトネットワークスやチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズといったセキュリティベンダーがZoomを採用しているのも興味深い点だ。

そんなZoomが、いよいよ日本に本格上陸する。

2017年9月からNECネッツエスアイがZoomの有償版ライセンスに会議用モニターやカメラ、マイクスピーカー等のハードウェアとサポートを組み合わせた「共創ワークソリューションZoom」を発売した。

NECネッツエスアイが提供する「共創ワークソリューションZoom」の利用イメージ
NECネッツエスアイが提供する「共創ワークソリューションZoom」の利用イメージ

さらにZoom自身も、日本市場の攻略に本腰を入れる構えだ。ZoomでStrategic Alliances/Chief Happiness Officerを務めるヘザー・スワン(HeatherSwan)氏は、「働き方改革、テレワークが盛り上がっている今は好機だ。2018年には日本オフィスの開設も計画している」と明かす。Skype for BusinessやWebExのユーザーである大企業でも、大規模な会議やグローバルな会議はZoomを使うといった併用、乗り換えが広がっており、日本でも同様の展開を狙っていく。

月刊テレコミュニケーション2018年1月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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