<特集>ネットワーク未来予想図20222022年に始まる周波数再編 再割当制度、周波数オークション…

2022年は、周波数再割当制度が創設されるほか、周波数オークションの検討にも結論が出る予定だ。新制度の下、楽天モバイルにプラチナバンドが割り当てられるのか、注目が集まる。

周波数を割り当てられた携帯電話事業者が再免許を繰り返し、事実上保有し続ける――。長年続いてきた慣行が変わるかもしれない。

総務省は、電波利用の将来像や電波有効利用に向けた新たな目標設定および実現方策を検討する「デジタル変革時代の電波政策懇談会」の議論を受けて、新たに周波数の再割当制度の創設を検討する。

同制度は、特定基地局開設計画の認定の有効期間が満了した周波数について、有効利用が不十分な場合や競願が発生する場合などには比較審査を行い、再割当を可能にするものだ(図表1)。

図表1 周波数再割当制度の概要

図表1 周波数再割当制度の概要

「現状では、例えば、周波数の有効利用が不十分であっても周波数を継続的に利用できたり、既存免許人以外の事業者がすでに割り当てた周波数の獲得に手を挙げることができないなどの課題がある。そのため、電波の有効利用を促進する観点から、周波数の固定化に対応することが重要なポイント」。総務省 総合通信基盤局電波部 電波政策課 企画官 兼 携帯周波数割当改革推進室長の柳迫泰宏氏は、導入の背景をこう述べる。

総務省 総合通信基盤局 電波部 電波政策課 企画官 兼 携帯周波数割当 改革推進室長 柳迫泰宏氏
総務省 総合通信基盤局 電波部 電波政策課 企画官 兼
携帯周波数割当 改革推進室長 柳迫泰宏氏


比較審査の結果、再割当により新たな認定開設者に周波数が移行する場合、移行期間は個別の案件ごとに設定する。移行を円滑に進めるため、終了促進措置の活用も可能とする。

終了促進措置では、新たな認定開設者が周波数移行に必要な費用を負担することで、既存無線局の周波数を期限より前倒しして使用を終了し、早期の移行を実現できる。

従来は異なる種類の無線局を対象とした周波数の再編において活用されてきた措置だが、今回はモバイル市場で競争関係にある携帯電話事業者間で協議することになる。協議が調わない可能性もあることから、電気通信紛争処理委員会にあっせん・仲裁を申請できる仕組みも導入する。

再割当制度の創設と併せて、電波の利用状況調査の改善も検討する。

携帯電話の周波数については、2018年度から毎年度、電波の利用状況調査を実施することとなったが、技術革新が早く、より高度で専門的な評価が求められることから、電波監理審議会の機能を強化し、今後は電波監理審議会が総務大臣に代わって電波の利用状況調査の評価を行う。また、各周波数帯について、従来からの評価指標である①カバレッジ、②通信速度向上などに資する技術導入に加えて、③帯域別トラフィックを新たな評価指標として追加するとともに、評価の透明性・客観性を担保するため絶対評価を導入する。「客観的データに基づいて周波数の有効利用度合いを可視化できるようにする」(柳迫氏)との狙いがある。

月刊テレコミュニケーション2022年1月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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