ワイヤレス通信の利活用シーンは拡大の一途を辿っている。なかでも今後期待される適用先の1つとして、介護や医療分野が挙げられるが、ワイヤレスジャパンでも興味深い展示を見つけることができた。GM3のブースに展示されていたワイヤレス心電計である。
GM3のワイヤレス心電計 |
GM3のワイヤレス心電計の特徴はまず、世界最小クラスというコンパクトさだ。幅40×長さ35×厚み7.2mmと非常に小さい。もう1つの特徴は、連続使用時間の長さである。GM3のワイヤレス心電計は3軸加速度センサーも内蔵しているが、両方計測した場合は約48時間、心電図のみの場合は約120時間、連続駆動できる。この低消費電力を実現するうえでポイントとなっているのが通信プロトコル。同社の心電計は無線通信に2.4GHz帯を使用しているが、通信プロトコルに独自方式を採用することで消費電力を大幅に小さくできたそうだ。当初はBluetoothなどを採用する考えだったが、より省電力にするため、独自開発したという。通信可能な距離はおよそ10~20m。専用のUSB型受信機を挿したPCに心電図などのデータが送信される。
世界最小クラスというコンパクトさ。また、電池で48時間連続駆動する |
心電計がワイヤレスになることのメリットは、第一に装着の負担が少ないことだ。スポーツ中の選手の心電図をモニタリングすることもワイヤレスなら容易である。実際、今年の箱根駅伝で日体大の選手がGM3のワイヤレス心電計を装着して走ったという。また、有線の心電計と比べて、ノイズも少ないという。より精度の高い心電図を得られるのである。
GM3代表取締役の渡瀬貴彦氏によれば、介護・医療分野だけでなく、当初予想していなかった分野の研究機関やメーカーなども、このワイヤレス心電計の評価キットを購入しているという。GM3のブースではこのほか、ワイヤレス脳波計やワイヤレス加速度計なども展示している。