日本初の光ファイバー卸専業事業者として2002年に設立されたビー・ビー・バックボーン(以下、BBB)。同社を起点に、光ファイバーにおける、新たなイノベーションが巻き起こっている。舞台はDCI(Data Center Interconnection:データセンター間接続)だ。
「5Gも始まり、DCIにはますます広帯域が求められています。2021年度は100Gbpsが主流に、さらに2022年度は400Gbpsも普及していくと想定しています。しかし、現状100Gbpsの広帯域専用線は月額50~60万円くらいとまだ高額です。また、納期も通常~3カ月はかかります。我々は、DCI市場をもっと活性化させたいという思いで、『BBB Spectrum』と『BBB Spectrum Plus』の提供を始めました」とBBBの太田貴光氏は語る。
BBB Spectrumは、波長多重技術を応用し、光ファイバーを波長単位で貸し出すDCIサービスだ。BBBは各ユーザー専用の波長ポートを提供し、トランスポンダー等のDWDM用光トランシーバーはユーザー側で用意する(図表1)。波長のバンド幅は50GHz幅、75GHz幅、100GHz幅から選べ、100~400Gbps超の広帯域伝送が可能だ。
図表1 光ファイバーの波長貸しサービス「BBB Spectrum」の概要
「国内で波長貸しのサービスを正式提供しているのは、おそらくBBBだけ。データセンター向け光ファイバー事業者として後発の我々は、アグレッシブに行く必要があります」(太田氏)
波長貸しという従来なかったサービスモデルにより実現されるのは、圧倒的な低コストと短納期だ。「コストは専用線の半分以下。リードタイムも1カ月程度と約半分です」と同氏は説明する。つまり、増え続けるデータセンター間トラフィックに対して、大幅にリーズナブルかつ迅速に対応していけるのだ。光ファイバーのルートと機器はもちろん冗長化、波長間のセキュリティも確保されており、信頼性も万全である。
このように破格の魅力を持ったBBB Spectrumだが、「残念ながら、うちには無理」と思ったデータセンター担当者もいるかもしれない。ルーター/スイッチの運用には長けていても、「トランスポンダーのような光伝送装置はほとんど触ったことがない」というネットワークエンジニアが大半だからだ。
しかし、あきらめる必要は全くない。こうした企業のニーズに応えるサービスとして、BBB Spectrum Plusが用意されているからである。
BBB Spectrum Plusでは、トランスポンダーもBBBが用意。100Gbpsもしくは400Gbpsの帯域幅を選べば、100GBASE-LR4、100GBASE-OTU4、400GBASE-FR4のいずれかのインターフェースで回線が提供される。
すなわち、専用線サービスと実質的に同じ使い勝手で、波長貸しサービスのメリットを享受することができる。太田氏によれば、BBB Spectrumよりは多少料金は上がるものの、一般的な広帯域専用線と比べると半額近い料金で提供可能だという。