NTTの澤田純社長は今回の業務提携で進める取り組みについて、「3つの挑戦」を挙げた。
1つは、光電融合製造技術の確立。「光電融合」とは、NTTが2019年に打ち出した次世代ネットワーク構想「IOWN」のキー技術とされているものだ。現在の通信ネットワークは光信号と電気信号の変換を伴うが、IOWN構想では、この変換を必要とせずに伝送効率と電力消費効率を飛躍的に高める「オールフォトニクス・ネットワーク」の実現を目指している。
デバイス開発に強みを持つ2社の一体化により、光電融合デバイス開発を加速させる
この光電融合技術を活用したデバイスの研究開発を加速するため、NTTグループで先端デバイス技術を活かしたハードウェア製品を開発するNTTエレクトロニクス(NEL)と、半導体実装技術を持つ富士通アドバンストテクノロジ(FATEC)を一体化。NELがFATECへ出資し、FATECの66.6%の株式を2021年6月1日に取得する。これにより、FATECは、NTTエレクトロニクスクロステクノロジとして同日より事業を開始する。
澤田社長はあわせて、光電融合デバイス開発のロードマップも示した。
光電融合デバイス開発のロードマップ
まず「2022年度に、小型・省電力・高性能な光通信用デバイスを提供開始する」(同氏)。その後、同技術の活用範囲を広げ、2025年にはLSI・光チップ間の光伝送への実装、2030年頃には、チップ内のコア間光通信にも応用し、通信のみならず「コンピューティング向け半導体の領域にも光電融合技術の適用範囲を広げていく」と展望を示した。