NTTデータ経営研究所など、過疎地域における5Gを活用した遠隔診療・リハビリ指導の実証実験結果を発表

NTTデータ経営研究所、NTTドコモ、新城市民病院、東海国立大学機構 名古屋大学、新城市、国立研究開発法人理化学研究所、ニプロ、ソシオネクストは2021年2月22日、過疎地域診療所における5Gを用いた遠隔診療・リハビリ指導の実証実験の結果を発表した。

システム構成図

これは、総務省「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」の請負事業の一環で、コンソーシアムを設立し、1月17日から2月12日までの間、愛知県新城市で実証実験が行われた。

新城市では、人口減少・過疎化・少子高齢化が進み、山間部等のへき地における通院困難患者の増加や医療資源の負担増加など、深刻な地域課題を抱えている。このため、①高齢者の健康異常を早期に「検知」できること、②物理的距離にかかわらず医療を提供できること、③遠隔で健康指導・リハビリ指導を行うため 「高解像度な映像・データ」を伝送できることが不可欠であり、高速・大容量かつ高信頼性・低遅延の通信環境が望まれているという。

実証実験では5Gや4Kカメラを使用し、実証地域の診療所や集会所と中核病院の医師を繋ぐことにより、超音波画像検査(腹部エコー)などの遠隔診療や遠隔リハビリ指導を行った。

具体的な実証内容は、以下の通り。
① 遠隔問診、各種バイタルデータや遠隔超音波画像検査などの遠隔診療に関する実証
② 4Kカメラを用いた遠隔リハビリ指導に関する実証
③ 4Kカメラや用いた遠隔からの摂食嚥下指導に関する実証
④ 遠隔医療における 5G の性能評価、電波伝搬特性評価およびエリア構築・システム構成の検証

概要図

実験参加者や医療従事者に対するアンケートの分析や5Gの受信電波分布等の比較検証の結果、以下の結果が得られた。

① 患者の全身、歩行状態、局所部位の各様子を、療法士のリハビリ指導に求められる十分な映像品質で確認。また、リハビリ前後での診療が遠隔で可能。
② 遠隔の医師と現地の看護師が連携して腹部エコーのプローブ操作が可能。
③ 中核病院の言語聴覚士と現地の看護師が連携して嚥下指導が可能。
④ 5Gを使用することで、腹部エコーや4Kのリハビリ映像を遅延が少なくリアルタイムに伝送することが可能。

実証プロジェクトを通じて、5Gおよび4K等高精細映像伝送を用いた遠隔診療・リハビリ指導の有用性、機能、操作性等の検証が可能となった。今後は、5G基地局(ローカル5Gを含む)、モバイル超音波画像診断装置、遠隔診療支援システム、映像伝送・診療システム等について、実証の検証結果を踏まえ、現状の技術と将来的な見込みをもとに、事業継続性や実現可能性の検討を推進するという。

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