日本企業にもSD-WANが普及し始めた。
大きな要因がユースケースの明確化だ。SD-WANには多彩な機能があるが、そのうち、拠点に設置するエッジ装置の設定を自動化する「ゼロタッチプロビジョニング(ZTP)」と、トラフィックを識別してアプリケーション毎にQoSや通信経路を制御する「アプリ識別・制御」機能を活用する使い方が浸透してきた。
2大ユースケースが牽引ZTPは、多数の拠点を持ち、かつ新規開設や統廃合が頻繁な企業にとって特に有効だ。エッジ装置を現地に送り、電源を入れてインターネットに接続すれば、クラウド上の管理システムからコンフィグを読み込んで自動的に設定が完了する。技術者の派遣が不要なため、迅速かつ低コストにWANを展開できる。
ジュニパーネットワークス 技術統括本部 エンタープライズ技術第一本部 部長の渡邊貴之氏は、「条件によって異なるのであくまで参考値だが、人を派遣するのに比べてコストは3分の1。一方、1日で展開できる拠点数は3倍」と話す。ビジネスのスピードは格段に上がる。
アプリ識別・制御機能は、「インターネットブレイクアウト」の用途で使われている。WebアクセスやSaaSのトラフィックが、本社やデータセンターにあるファイアウォールやプロキシ(ゲートウェイ)/回線に集中するのを防ぐのが目的だ。これらの通信を拠点から直接インターネットへ逃がし、WAN/ゲートウェイの負荷を軽減する。
2018年からSD-WANサービスを提供しているソフトバンク SE本部 インダストリー第3統括部 西日本SE第1部 ソリューションSE課 課長の阪本修一郎氏は「今、導入の目的はほぼブレイクアウトと言っていい。Office 365を使うお客様が大半で、この使い方が最もニーズがある」と話す。