NECは2020年3月10日、150GHz帯において、OAMモード多重技術と偏波多重技術を組み合わせたリアルタイムデジタルOAMモード多重無線伝送技術による100m伝送に世界で初めて成功したと発表した。

NECは以前からOAMモード多重無線伝送技術の開発を進めており、2018年12月に80GHz帯で行った実験では40m伝送に成功していた。

今回の実験では、OAMモード多重無線伝送技術に偏波多重技術を加えることで、前回の2倍となる16本の256QAM変調信号を多重化し、変調速度115Mbaudで、14.8Gbps（8モード×2偏波×8ビット×115Mbaud）の伝送容量を実現している。

さらに、D帯（130～174.8GHz）という、より高い周波数帯を利用することで、伝搬によるOAMモード信号の拡散を抑え、ほぼ同一のアンテナ径で伝送距離を2.5倍の100mに拡大することに成功したという。

NECは今後、同社の固定無線伝送システム「パソリンク」に同技術を適用し、5GおよびBeyond 5Gのモバイルバックホール回線やフロントホール回線での利用などを目指す。伝送距離をさらに伸ばすとともに、帯域幅の1GHzへの拡大により100Gbps以上の伝送容量も実現していくという。

150GHz帯OAMモード多重無線伝送用アレーアンテナ