愛媛県の久万高原町は2020年1月29日、森林を含む町内全域をカバーするLPWA通信網を整備すると発表した。自治体が区域全域を網羅するLPWA通信網を整備するのは全国初。
久万高原町の狙いは、林業従事者の安全性・生産性の向上だ。同町は総面積の約90%が森林で、林業が基幹産業の1つとなっている。
林業は労働災害の発生率が高いが、森林は携帯電話がつながらない場所も点在しており、万一の際に救助をすぐ要請できないことが課題だった。そこでLPWA通信網を整備し、即時救助要請できるようにする。正確な位置情報を通知することも可能になる。
LPWA通信網の構築はフォレストシーに委託する。無線局免許が不要な出力20mW以下のLPWA規格が多い中、同社のLPWAは無線局免許が必要だが250mWと高出力な点が特色。このため、より長距離な通信が可能だという。
また、LPWA子機をスマートフォンなどとBluetooth接続することにより、チャットによるコミュニケーションも行える。久万高原町では、救助要請だけでなく、グループ内の連絡等にも活用することで、生産性向上にもつなげたい考えだ。
同町は、西日本最高峰の石鎚山を擁する四国山地に位置し、急峻な山と谷が連なる険しい地形で面積も大きいが、役場屋上に設置する親機と、標高の高い見通しの良い場所に設置する20カ所程度の中継機で、町内全域をカバーできるという。中継機の設置は1月下旬から開始し、2月上旬から運用を開始する。
なお、今回のLPWA通信網の整備は、令和元年度総務省「地域IoT実装推進事業」補助金を活用して行う。