NTTは2017年12月12日、台湾の中華電信と共同実験を行い、両社が開発する汎用的な技術によって仮想ネットワークを制御することに成功したと発表した。実験で使われたのは、ホワイトボックススイッチを用いたネットワークを構成・制御するNTTの「Multi-Service Fabric(MSF)」と、中華電信のオーケストレータ技術「NAPA」。この2つを連携させ、仮想ネットワーク制御においてキャリアで必要とされるサービス継続性と信頼性を実証することに成功したという。
急激なトラフィックの増加やネットワーク利用用途の多様化によって、近年、通信事業者ではより早く柔軟にこうしたニーズに対応できるネットワークが求められている。そのため、従来のように特定のネットワーク機器ベンダーが製造・提供する製品だけに依存するのではなく、より共通的かつ汎用的な技術・製品を活用することが重要になってきている。
NTTと中華電信の協業は、汎用製品を最大限に活用したアーキテクチャによって、この課題を解決することを目的としたものだ。
データセンタサービスの構成と本共同実験の範囲
今回の共同実験は、中華電信研究院のデータセンターにおいて、ホワイトボックススイッチを適用したネットワークで実施。NAPAからMSFを制御することで、ホワイトボックススイッチとホワイトボックススイッチ用OSを用いた仮想ネットワークの構成技術および制御技術を実証した。
また、MSFコントローラの故障時における冗長性や、ホワイトボックススイッチの故障時における自動的な通信経路の切り替えなどを確認。キャリア・ネットワークの運用において想定される故障を模擬して、サービスが継続できる信頼性を兼ね備えていることを確認したという。
両社は今回の実験で得られた知見を基に、より詳細な技術検討および試験を行うとともに、今後、キャリアIPネットワークのエッジやコア・バックボーンネットワーク領域での適用も検討する。また、NTTは実験実績や知見をオープンコミュニティへ展開する。