日立システムズは、浄水場で利用する電動機や減速機など、回転機器の稼働監視や保全業務を効率化する遠隔監視システムを開発した。
回転機器を有する攪拌機 | 無線型センサー(丸印部分) |
同社は日立プラントサービスが包括維持管理業務を受託している浄水場において、同システムを利用する実証実験を1年間にわたって実施した。実証実験をとおして、安価な無線型センサーを用いても、設備機器の状態を定量的に把握できるようになったという。
これまでも、取水ポンプや排水ポンプなど、主要な設備機器は、中央監視システムにより稼働状況と常に管理し、計画修繕を実施していた。しかし、小型・中型の設備機器(攪拌機、ポンプ、フロキュレーターなど)は、技術者による目視点検と定期点検で稼働状況を管理していたため人手がかかっていた。
無線型センサーを活用した遠隔監視システムによる常時監視を行うと、巡回目視点検を自動化して点検業務を効率化できるほか、設備の稼働状況を確認しながら設備延命化や最適な修繕時期を見極めることが可能になる。
日立プラントサービスが包括維持管理している浄水場内にある攪拌機などには、電動機の高速回転部と低速回転部がある。それぞれの回転部付近に、取り外し可能で配線が不要な無線型センサーを設置。センサーから取得した機器の振動と温度に関するデータを、IoTゲートウェイ経由で日立のクラウド型機器保守・設備管理サービス「Doctor Cloud」へ蓄積・分析したところ、振動データの相関的な傾向を確認でき、無線型センサーを用いた遠隔監視システムの実現の見通しを得たとのこと。
実証実験の全体構成図 |
実証実験を行った浄水場内の施設全体で約50台の回転機器がある。従来、高回転部と低回転部の部品交換は2年ごとに実施してきた。しかし、新たに開発した遠隔監視システムでは常時監視による状態基準保全が可能になり、設備によっては高速回転部と比較して回転数が少ない低速回転部の部品交換を、最大で約2倍の4年まで延命化を計画できるという。