全国規模の商用ネットワークがいち早く登場したのは米国だ。2017年3月31日、ベライゾンが一番乗りでLTE-Mの通信サービスを開始した。カバレッジ面積は約620万km2と広大で、同社は全米をカバーしたと宣言している。ちなみに日本の国土は約38万km2だ。
そんなベライゾンに遅れること1カ月半、AT&Tも5月18日にLTE-Mの通信サービスを全米で開始したと発表。同社はさらに、2017年末までにメキシコにも展開予定であることを明らかにしているほか、「AT&TはNB-IoTも提供する意欲があるようだ」(マルチメディア振興センターの木賊智昭氏)と、もう1つのセルラーLPWAの提供も視野に入れている。
図表 セルラーLPWAの商用サービス展開済みの地域(2017年9月1日時点)
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欧州はNB-IoTが先行LTE-Mの展開が先行する米国に対して、欧州やアジアではNB-IoTから商用化する動きが目立つ。欧州には数多くのモバイルキャリアがいるが、実際にドイツテレコムとボーダフォン・グループの2大勢力はNB-IoTから商用サービスを開始している。
ドイツテレコムは、同社の子会社T-モバイル・オランダが6月1日から、屋内の奥までを含めて、オランダ全域でNB-IoTの商用サービスを提供すると発表した。そして6月に入ってから、ドイツテレコムはドイツの首都圏(ケルン/ボン、デュッセルドルフ、ルール地方、シュトゥットガルト、ベルリンなど)でNB-IoTの商用サービスを始めており、その他のエリアへも展開を進めている最中だという。
英国に本社を置くボーダフォン・グループは、欧州各国で子会社やパートナー企業を通じて通信サービスを提供しているが、その中でも最初にNB-IoTの商用サービスを始めたのはボーダフォン・スペインだ。現在は1000基地局がNB-IoT対応になっており、首都マドリード、バレンシア、バルセロナ、セビリア、マラガ、ビルバオの6都市でNB-IoTを利用できる状況だ。
また、ボーダフォン・アイルランドは、8月31日に商用のNB-IoTネットワークを初めてアイルランド全土に張り巡らせたと発表。同社は、アイルランドが「スマート国家」になるためのインフラを提供するとしている。
ボーダフォン・グループはこのほかの地域でもNB-IoTの商用化計画を着々と進めており、2017年後半にはニュージーランド全土とドイツ全土、そしてオーストラリアのビクトリアなどでNB-IoTの通信サービスを開始する予定だという。