「いろんなIoTデバイスやサービスが登場しているが、“これがIoT”というサービスはまだ少ない。しかし、デバイスがネットワークにつながり、データが流通すれば、新たなサービスやビジネスが生まれてくるはずだ」(NECパーソナルコンピュータ代表取締役執行役員社長の留目真伸氏)
このような考えのもと、NECパーソナルコンピュータ(NEC PC)とキュレーションズが共同開発したIoT基盤が「plusbenlly」だ。2017年7月19日からベータ(試作)版が一般公開されており、正式版は2017年中を予定している。
plusbenllyはクラウド上のバックエンドサービスとして企業向けに提供される。IoT家電やウェアラブルデバイスなど、異なるベンダー間のIoTデバイスを連携させたり、デバイスから収集されるデータをSNSなどのインターネットサービスと組み合せたりする機能が備わっている。企業はplusbenllyを利用することで、新たなサービスを消費者に届けられるようになる。現在、plusbenllyに接続できるデバイスやサービスは25社35種類で、今後も増えていくという。
plusbenllyの活用イメージは?既にplusbenllyを実証実験で利用することを決めている企業がある。積水ハウスと大和リビングマネジメントだ。
積水ハウスは、経済産業省の採択事業「スマートホームに関するデータ利活用環境整備推進事業」の実証実験でplusbenllyを活用する。スマートホームには空気清浄機、エアコン、インターホンなどのIoTデバイスがクラウドの接続されるが、plusbenllyはライト制御を担当する。
積水ハウスの実証事業イメージ図 |
もう1つの大和リビングマネジメントによるプロジェクトは、東京電力パワーグリッド(東電PG)とともに行われる実証実験だ。
大和リビングマネジメントが提供している賃貸住宅内に、温度・湿度・照度の環境センサー付きの機器制御用リモコンを設置。そのリモコンをWi-Fi経由でplusbenllyにつなげてセンサーデータを収集したうえで、電力データを収集・分析する「東京電力PGプラットフォーム」とAPIで連携させ、電気の使用状況などをもとにリモコンでエアコンを制御する。
大和リビングマネジメントによる実証実験のイメージ |
積水ハウスと大和リビングマネジメントは、いずれもスマートホームでplusbenllyを利用するが、NEC PCやキュレーションズはさらに多様な活用シーンを見込んでいる。
活用シーンの一例として、「朝さわやかに起きるため、起床時間に合わせて異なるメーカーのテレビ・エアコン・ライトを一括でオンにする」「体重計で測定した体重が目標値を上回った時、ダイエットメニューを食材のネットサービス企業が提案できるようになる」などをNEC PCは挙げている。今後はヘルスケア・睡眠・宅配・子どもの見守りなど様々なIoTサービス向けに、幅広く展開していく予定だという。
plusbenllyの活用シーン |