東京五輪は「上り」が勝負!モバイルトラフィックはどれくらい増大するのか?

3年後に迫った東京オリンピック・パラリンピック。通信業界にとっては、大会期間中、爆発的に増加するトラフィックをどうさばくかが大きな課題となる。

2020年に開催される東京オリンピック――。通信業界にとっては、5Gの商用化を果たし、日本の通信サービスの先進性をいかに世界にアピールできるかが大きなテーマとなる。

ノキアで無線システムパフォーマンス特別研究員を務めるハリー・ホルマ氏は、オリンピックの成功には5Gの商用化に加え、もう1つ重要な課題があると指摘する。会期中に大幅な増加が見込まれるトラフィックへの対応である。

昨年開かれたリオデジャネイロ五輪では、2013年のロンドン五輪の約3倍、3250TBものデータトラフィックが発生したという。ロンドンで3Gだったネットワークが、リオでは4Gに変わり、動画のやり取りが可能になったことが要因の1つである。リオでは期間中のテレビ視聴がロンドンと比べて15%減少し、代わってストリーミングの利用がロンドンの3倍、33億本に増えたそうだ。

「5Gが実用化される東京五輪ではおそらく1万TB以上のトラフィックが発生する」とホルマ氏は予測する。

図表 夏季五輪でのデータトラフィック
図表 夏季五輪でのデータトラフィック

会期中、最も多くのトラフィックが発生するのは開会式で、ロンドンでは0.7TB、リオでは1.6TBに達した。ホルマ氏は「東京五輪では少なくとも5TB程度のトラフィックに備えなければいけない」と指摘。また、オリンピックのようなイベントでは、観客の多くがスマホやタブレットを使って写真や動画をSNSにアップすることから、「上りリンクに最適化することが重要になる」と語る。

人気歌手マドンナが参加したイベントでトラフィックを測定したところ、当初1:10だった上り/下りの比率は、ピークで3:1になったという。

月刊テレコミュニケーション2017年2月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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