札幌市、日本マイクロソフト、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所（YRP UNL）は2016年1月19日、観光・施設情報やスポーツ情報、公共交通情報などのオープンデータを活用して外国人観光客向けに情報を提供する実証実験を行うと発表した。この事業は、総務省の平成27年度オープンデータ・ビッグデータ利活用推進事業の1つである「オープンデータシティの構築に向けた実証に係る請負」を日本マイクロソフトとYRP UNLが受託して実施するもの。2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会や、冬季アジア札幌大会などの国際的なスポーツ競技大会を念頭に置きつつ、ICTを活用してインバウンド観光客の受け入れ環境を整備するためのモデルケースの構築を目指すという。

実証実験の内容について発表する札幌市長・秋元克広氏（奥）と、日本マイクロソフト・代表執行役会長の樋口泰行氏（中央）、YRP UNL所長の坂村健氏。発表は札幌市内で行われ、その模様は東京都内の日本マイクロソフト本社（記者会見場）に中継された

具体的には、2016年1月30日、31日開催の「FIS ジャンプワールドカップ2016 札幌大会」と、2月5日から11日間開催される「さっぽろ雪まつり」の来場者にオープンデータを活用して開発したアプリを使ってもらい、その有効性を検証する。札幌市の秋元克広市長は、「外国人観光客の数は2014年度に過去最高を更新し、今年度（15年度）はそれを上回るペースで伸びている」としたうえで、オープンデータを活用した情報提供サービスにより、「さっぽろ観光をより楽しいものにしていただきたい」と期待を述べた。

事業の概要

オープンデータとは、行政・公共機関や企業等が自ら保有するデータを公開する取り組みのことだ。二次利用が可能なように判読が容易なデータ形式で、かつ利用ルールに基いて公開することで、これを活用した新たなアプリケーション／サービスの創出、ビジネス活性化を促すのが目的だ。今回の実証実験では、日本マイクロソフトとYRP UNLが、札幌市をはじめとする様々な観光・スポーツ・公共交通関連の協力団体が参加する「札幌オープンデータ協議会」を設立。各協力団体から提供されたデータをオープンデータとして活用できる基盤をMicrosoft Azure上に整備する。また、民間でのデータの活用やサービス創出を促すため、アプリ・コンテスト、アイディアソン・ハッカソンなどの活動を実施するとともに、YRP UNLもインバウンド観光客向けのアプリを開発している。

オープンデータ活用の基盤整備に加え、アプリ開発を促すための活動も行う