東京電力は11月30日、記者向けセミナーを開催し、燃料・火力発電事業を担当する「東京電力フュエル&パワー」の電力自由化に向けた事業戦略の概要を説明し、火力発電事業の競争力強化のために、IoTの取り組みを強化する方針を明らかにした。
来年春からの電力小売り全面自由化を前に、東京電力はホールディングカンパニー制を採用、「燃料・火力発電事業」「送配電事業」「小売り電気事業」の3分野で事業子会社を設立、競合他社に対する競争力強化を目指している。
燃料・火力発電事業分野の東京電力フュエル&パワー(FPC)は、「低廉な電力・燃料を安定的にお届けするとともに、福島復興原資を創出することを通じた企業価値の向上」を使命として、石油・ガス掘削など燃料上流から発電までのサプライチェーンにおいて、世界とダイナミックに渡り合えるエネルギー事業者に変革するとしている。
東京電力フュエル&パワー・カンパニーの酒井大輔氏経営企画室長は、中部電力との燃料・火力発電事業での包括的アライアンス「jera」の戦略性を強調しながら、「量と単価での燃料費削減に戦略的に取り組む」、「火力発電所運営事業の生産性を倍増する」などの方向を明らかにした。
東京電力フュエル&パワー・カンパニーの事業戦略を説明する酒井大輔経営企画室長 |
その上で、特に火力発電所運営事業について、発電単価を引き下げて競争力を高めるために、世界最高効率の発電所運営ソリューションをさらに徹底的に強化したいと強調した。火力発電においては、90%を占める燃料費と10%を占める発電設備などの固定費の削減が鍵を握るが、高効率稼働、定期検査の圧縮、予兆管理によるトラブル未然防止などがキーファクターとなる。
そこで、現在も行っているセンサによる発電設備の運用管理、データ分析による稼働管理をさらに進めるため、IoTを本格導入して、最適運転ができるようにしていくとした。そして、この分野でのリーディングカンパニーになると同時に、運用ノウハウを運転技術の付加価値とて輸出できるような発電所運営を目指す取り組みを進めていくとした。
15ヶ所の火力発電所を有しているがフュエル&パワー・カンパニー全体として、IoTに戦略的に取り組み、グローバルスタンダードを目指す意向だ。
IoT活用が進められる火力発電設備 |