音声認識技術を軸に事業を展開するアドバンスト・メディアが、騒音・雑音の多い環境でも高精度な音声認識を可能にする新ソリューションを開発した。これまではニーズがありながら音声認識を利用できていなかった現場業務でも、“声”を情報化して使える道が拓ける。
同社は、自社開発の音声認識エンジン「AmiVoice(アミボイス)」によって、音声をテキストに変換してハンズフリーで入力を行ったり、レポート作成やデータベースとの連携等に用いる音声認識システムを開発・提供してきた。特に、官庁・自治体向けの議事録作成支援システムや、医療向けの電子カルテ音声入力システム、コールセンター向け通話モニタリングで高いシェアを持つ。
ただし、こうした用途は比較的静かな環境で高品質なマイクを通して、あるいは電話回線から直接音声を取得できる状況だからこそ可能だった。認識ソフトの改良や、デバイスに合わせたチューニングによって認識精度を向上させることは可能だが、騒音・雑音が多く交じる現場で使うにはどうしても限界がある。
そこで、騒音・雑音の多い環境でも良質な音声を収集でき、ハンズフリーで通話が行えるウェアラブル端末「AmiVoice Front WT01(以下、WT01)」を開発。これとAmiVoiceを組み合わせて、製造や物流・小売業等の現場業務を効率化するソリューションを提供する。
アドバンスト・メディアのクラウド事業部・事業部長を務める坂口毅雄氏。首元の端末がWT01で、白と黒の2色を用意。前面にノイズキャンセリングマイク、電源ボタン、ボリューム調整、ファンクションボタン、背面にスピーカーを備える |
クラウド事業部 事業部長の坂口毅雄氏は「これまでもコンビニやアパレル店舗、配送業など、現場業務で音声認識を使いたいというニーズは強かったが、雑音対策のためにヘッドセットマイクを装着する必要があり、入り込めていなかった」と話す。WT01はその課題を解決するものだ。「フロント業務で使いたいというニーズに応えるには専用端末が不可欠だった」と、同社にとって初めてとなる端末開発に踏み切った。
発表後の手応えは充分だ。「引き合いやトライアルの要望が次々と寄せられている」と同氏は自信を示す。