「日本型UC」の答えは見えてきたのか?(前編)――NECとOKIの取り組み

欧米のようにはいかない――。そう言われ続けて久しいユニファイドコミュニケーション(UC)だが、いよいよ日本企業にも根付く兆しが見えてきている。日本特有のニーズに応えるためのUCベンダーの取り組みを2回にわたりレポートする。今回紹介するのはNECとOKIの取り組みだ。

NEC――導入しやすさを追求し電話からUCへの進化促す

日本企業のUC導入は、北米・欧州に比べて遅れていると言われることが多い。その要因は何か。

1つは、電話の運用方法の違いだ。欧米では元来、1人1番号を持って電話を使っている。そこに、IM/プレゼンスといったツールが加わっても、人(つまりユーザーID)を中心として連携させるというUCのスタイルが馴染みやすい。

「だから、テレフォニーの延長上にUCが根付きやすいが、その下地は日本企業にはない」と指摘するのは、NEC 企業ネットワーク事業部 シニアマネージャーの岩瀬俊夫氏だ。国内では新しいツールを導入しても、「それぞれが独立したまま使われる傾向がある」という。人ではなく、デバイスやツールを軸としてコミュニケーションを捉えるため、「UC=統合」に価値を認めにくい環境なのだ。

もう1つ、システム面の課題もある。UCを導入する場合も、日本的なPBX機能と操作性が引き続き求められるため、PBXと、UC機能を持つサーバー製品の両方が必要になる。単一のUC製品だけでコミュニケーション基盤を構築する場合と比べると自ずとコストも高く、運用負荷も増大する。

NEC 岩瀬俊夫氏 NEC  嶋田健久氏
NEC 企業ネットワーク事業部 シニアマネージャー 岩瀬俊夫氏 NEC 企業ネットワーク事業部 マネージャー(国内システム支援グループ) 嶋田健久氏

PBXとUCを一体型で提供

日本では、従来の電話を継承しつつ、人を中心とした新しいスタイルを作って行かなければならない。これに対するNECの提案は、IP-PBXの「UNIVERGE SV9500/9300」と、UC製品「UNIVERGE 3C」が連動するコミュニケーション基盤である。「評価の高いSVシリーズの機能性をそのままに、3CでUCをアドオンできるのがポイント」と岩瀬氏は話す。

先の1つ目の課題はつまり、メールやIM・プレゼンスに代表される、人(ユーザーID)に紐づくツールと従来の企業電話をどう紐付けるのか、という問題になる。重要なのは、ユーザーIDを軸に多様なツールとデバイスが連動する体系を構築することだ。同事業部マネージャーの嶋田健久氏は、「個々の社員が持つユーザーIDを核として複数のツールが紐付いていくUCの体系を作り、それを既存のインフラとどううまく連動させるかを具体的に設計して提案している」と話す。

一方、2つ目の課題に対しては、負荷の少ないかたちで従来の電話にUCを追加できるように工夫している。SV9500 の提供形態の1つとして、3Cを同梱した「UCサーバモデル」をラインナップした。従来は、3CのサーバーとSVシリーズを別々に構築・運用する必要があったが、一体型にすることで構築と運用保守の手間を軽減する狙いだ。

また、中堅中小向けビジネスホン「UNIVERGE Aspire UX」でも、追加のサーバー導入が不要で、クライアントソフトを追加するだけでIMやプレゼンス等が使える簡易的なUC機能を内蔵。手軽にUCを始められるようにしている。

3C導入提案のトリガーは、スマートデバイスの活用だ。SVと連携して、スマートフォン/タブレットを内線電話として使ったり、IM・プレゼンス、Web会議等を利用できるUCクライアントの機能を強化し、その利便性をテコにUC提案を進めている。

月刊テレコミュニケーション2014年7月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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