ソリューション特集Wi-Fi 6E/7の現在地と未来 国内でも対応APが拡大、SPモード解禁で広がる可能性

国内でもWi-Fi 6E/7対応アクセスポイント(AP)の選択肢が充実し、企業・自治体で採用に向けた動きが活発化している。また、「SPモード」の解禁や「Wi-Fi 8」の実用化により、ユースケースはさらに広がっていきそうだ。

6GHz帯を利用する「Wi-Fi 6E」が2022年9月に国内で解禁されてから約4年、その後継規格となる「Wi-Fi 7」が2024年1月に正式発表されてから約2年半が経過した。従来のWi-Fi規格と比べて高性能な分、Wi-Fi 6E/7対応アクセスポイント(AP)は高価で、導入に二の足を踏む企業も少なくなかったが、その状況は変わりつつある。

2024年2月にWi-Fi 6E対応AP「WLX323」、今年7月にWi-Fi 7対応AP「WLX333」「WLX232」を販売開始したヤマハ プロフェッショナルソリューション事業部 ネットワーク推進部 マーケティング&セールスグループの森田広志氏は、「販売開始当初と比べ、Wi-Fi 6E対応APの売上が大きく伸びている。Wi-Fi 7対応APは発売したばかりだが、多くの引き合いがある」と手応えを語る。

今年5月にWi-Fi 7ソリューション「ギガらくWi-Fi ハイエンド7プラン」を発表(販売開始は8月)したNTT東日本 無線&IoTビジネス部 Wi-Fi/映像ビジネス担当の飛田野大瑚氏も、「発売からまだ1カ月ほどだが、申し込み状況は好調だ」と話す。

その背景にあるのが、安定した通信へのニーズの高まりだ。NTT東日本 同部 同担当課長の井達佐氏は、「オンライン会議が増加しているだけでなく、AIやクラウドとつながる機会も増え、途切れない通信や低遅延性を求めるお客様が増えてきた」と述べる。ヤマハ 同部 企画グループの秦佑輔氏も、「6GHz帯という新しい道路によって混雑を避けることで通信トラブルを減らし、利用者が快適に業務を続けられる環境を構築することができる」と説明する。

6GHz帯が使えるWi-Fi 6E

まず、Wi-Fi 6Eの特徴と各社のソリューションを詳しく見ていこう。

Wi-Fi 6Eの大きな特徴は、既存の2.4/5GHz帯と比べて制約の少ない6GHz帯を使えることだ。2.4GHz帯は電子レンジやBluetooth等でも利用されており、電波干渉を起こしやすい。

一方、5GHz帯については、その一部(5250~5350MHz/5470~5730MHz)で共用する気象・航空レーダーの電波を検知した際に周波数を切り替える「DFS(Dynamic Frequency Selection)」機能への対応が必須となる。このため、レーダー波を検知すると通信が一時的に不安定になる場合がある、6GHz帯にはこうした影響を受ける心配がない。

また、6GHz帯(5.925~6.425GHz)は500MHzの帯域幅を有し、2.4GHz帯と5GHz帯の合計帯域幅(543MHz)に匹敵する。加えて、Wi-Fi 6では1チャネル当たり最大160MHz幅を使えるが、2.4/5GHz帯で確保できる160MHz幅は最大2つだった。6GHz帯では新たに3チャネルを確保できるため、160MHz幅の「高速レーン」を合計5本まで用意できる。

国内では、どのような法人向けWi-Fi 6E対応APが展開されているのか。例えばヤマハのWLX323は、最大5.4Gbpsの高速通信を実現し、最大270台の端末を同時接続できる。5GHz帯利用時に航空・気象レーダーの電波を検出した際の通信断を最小限に抑える「Fast DFS v2」機能も備える。

ヤマハのWi-Fi 6E対応AP「WLX323」

ヤマハのWi-Fi 6E対応AP「WLX323」(提供:ヤマハ)

電波状況や接続端末の状態を可視化できる「無線LAN見える化ツール」も提供する。障害の早期発見と原因を迅速に把握し、安定したネットワーク運用と管理効率向上を実現。現場の負担軽減に貢献する。

ディーリンクのWi-Fi 6E対応AP「DBA-X5480P」は、最大2.4Gbpsの通信速度を実現。「必ずしも超高速性を求めるお客様ばかりではないため、必要な性能を確保しながら、価格を抑えている点が特徴」(プロダクト本部 ビジネス推進部 部長の小林重臣氏)。標準価格は6万9800円、後述するWi-Fi 7対応AP「DAP-E9560」も9万9800円(いずれも税別)だ。

ディーリンクのWi-Fi 6E対応AP「DBA-X5480P」(提供:ディーリンク)

ディーリンクのWi-Fi 6E対応AP「DBA-X5480P」(提供:ディーリンク)

さらに、クラウド型管理システム「Nuclias Cloud」に対応し、APやスイッチ、ファイアウォールなどを一括管理できる。現地に足を運ばずに設定・運用できるため、ネットワーク管理者の負担を軽減できるほか、拠点への移動や出張に伴うコストの削減にもつながる。 Wi-Fi 6Eは、接続端末数が多く、安定した通信が求められる場所を中心に採用が広がっている。

今年2月に開催されたCTF大会(Capture The Flag:サイバーセキュリティに関する課題を解き、隠された正解文字列「Flag」を提出して得点を競う競技大会)「SECCON14」では、会場ネットワークにヤマハのWLX323が採用された。高い信頼性と柔軟性が求められる国際コンテストにおいて、快適なWi-Fi環境を提供した。

ディーリンクのDBA-X5480Pについては、接続端末数が多い学校や病院、スタジアムなどで導入が進んでいるという。同部 マーケティングコミュニケーション課 課長の畑中秀太氏によると、「DFSの影響を避けたいという理由から、Wi-Fi 6Eを採用するユーザーも多い」。

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