NTTは2026年9月14日、屋外環境(伝送距離100m)でサブテラヘルツ帯を用いた毎秒2テラビット(2Tbit/s)の無線伝送に成功したと発表した。
AIの本格普及に伴うコンピューティング需要の急増により、データセンター内ネットワークやデータセンター間接続(DCI)では、400Gbpsから800Gbps、さらには1.6Tbpsへと、より高速・大容量な光伝送技術への期待が高まっている。この「1.6Tbps級の光伝送技術に匹敵する速度を無線で実現できたことが今回のポイント」だとNTT未来ねっと研究所 波動伝搬研究部 特別研究員の笹木裕文氏は説明した。

成果の概要
具体的なユースケースとしては、光ファイバーの敷設が困難な環境や、ケーブルレス化が求められる環境を想定する。例えば、データセンター内やビル間の接続、基地局とコアネットワークを接続するバックホール、RU(無線部)とCU/DU(制御部)を結ぶフロントホールのほか、大規模イベントや災害時における臨時中継回線としての活用が挙げられる。

NTT未来ねっと研究所 波動伝搬研究部 特別研究員 笹木裕文氏
演算負荷を数百分の一まで低減
大容量の無線通信を実現するうえでは、「広帯域化」と「空間多重化」がカギを握る。NTTは、サブテラヘルツ帯を活用した広帯域化と、螺旋状の電波を用いてビーム内に多数の電波を重ねて伝送する「OAM(軌道角運動量)多重伝送技術」による空間多重化を行った。
また、空間多重については、必要な信号処理をデジタルとアナログへ効果的に振り分ける「ハイブリッド構成」を採用した。笹木氏曰く、従来の空間多重技術では、電波干渉を除去するために膨大なデジタル信号処理が必要になるが、アンテナ素子数が増えるにつれて演算量も急増する。そのため、多数のアンテナ素子を用いるサブテラヘルツ帯でデジタル信号処理を行うと、消費電力や遅延が増大してしまうという課題があった。
そこで、OAMモードの多重・分離処理の大半をアナログ導波回路で実行し、各OAMモード内での空間多重化のみデジタル信号処理で実施。これにより、高度な空間多重を実現しながら、フルでデジタル処理を行う場合と比べて演算負荷を数百分の1まで低減できたという。













