2Tbpsの大容量伝送を支える3つの技術
NTTは2023年、サブテラヘルツ帯とOAM多重伝送技術を活用し、伝送距離1mで1.4Tbit/sの大容量伝送に成功している。そして今回、さらなる長距離化・大容量伝送の実現に向け、「Multi-UCA型Butler matrix導波回路技術」「イメージングリフレクタ技術」「軸ずれ補正技術」という3つの新技術を確立した。
Multi-UCA型Butler matrix導波回路技術は、OAMモードの多重・分離処理をアナログ導波回路で行う際に、電力消費や処理遅延を抑える技術である。NTTが培った導波路の基本設計技術を活かし、導波回路の立体配線や構造の小型化・最適化を図ることで、2023年の実証時と比較し、搭載する機能や配線が増えたにもかかわらず、回路のサイズを約40%削減できたという。

Multi-UCA型Butler matrix導波回路技術の概要
イメージングリフレクタ技術は、OAM多重伝送の長距離化を実現する技術だ。笹木氏によると、Multi-UCA型Butler matrix導波回路技術で設計したアンテナを1次放射源として利用し、「反射鏡によってアンテナの電磁界分布を拡大し、あたかも大口径のアンテナから放射しているような状態を作る」ことで長距離化を実現した。
伝送距離は、アンテナ径を拡大することでその径に比例して延ばすことができる。ただ、単純にアンテナを大径化すると導波回路の配線が長くなり、損失が増大してしまうため、こうしたアプローチを採用したという。

イメージングリフレクタ技術の概要
軸ずれ補正技術は、送受信アンテナの中心軸を高精度に合わせる技術だ。アンテナの向きが少しでもずれると、「OAMモード同士が干渉して、通信品質が低下してしまう」ため、SINR(信号対干渉雑音電力比)の値を見ながらアンテナの向きを少しずつ動かし、SINRが最も高くなる、つまり最も軸が合った状態を探索する仕組みを確立したという。

軸ずれ補正技術の概要
NTT横須賀研究開発センタで実施した実証では、これら3つの技術を組み合わせたうえで、136.0-148.5GHz帯および151.5-164.0GHz帯を活用した。結果、伝送距離100m・2Tbit/sの大容量伝送に成功。2023年時の実証成果と比べて、伝送容量のさらなる拡大と長距離化を実現した。

研究の成果
笹木氏は、「データセンター内やビル間の接続、コアネットワーク、フロントホール等への活用を見据え、6Gの商用化が見込まれている2030年以降に実用化を目指したい」と意気込んだ。












