「AIがサプライチェーンリスクを加速」 SLINGが取引先の常時監視強化、対話型AIで修復手順

AIによって脆弱性の探索や攻撃が高速化するなか、防御の手薄な取引先を足掛かりとするサプライチェーン攻撃が深刻化している。KELAグループのSLINGは、取引先の外部公開資産やダークウェブ上の侵害兆候を継続的に監視するサードパーティリスク管理基盤の機能を拡張した。AIアシスタントによる修復支援や国内ガイドラインへの対応を加え、事故後の対処から予防型の管理への移行を支援する。

サイバー脅威インテリジェンスを提供するKELAは2026年8月18日、グループ会社のSLINGが提供するサードパーティリスク管理(TPRM)プラットフォームの機能拡張を発表した。

TPRMとは、委託先やサプライヤーなど、第三者に起因するセキュリティリスクを継続的に把握・管理する仕組みである。

説明会では、SLING CEO兼共同創業者のウリ・コーエン氏が新機能を説明した。

SLING CEO兼共同創業者のウリ・コーエン氏

SLING CEO兼共同創業者のウリ・コーエン氏

KELAのCyber Intelligence Center(CIC)の観測によると、AI悪用型サイバー犯罪に関連するランサムウェア被害は、前年比389%増加した。脆弱性の発見から攻撃に悪用されるまでの時間も、数カ月から数時間へ短縮しているという。

2026年上半期AI脅威情勢レポートの全貌

2026年上半期AI脅威情勢レポートの全貌

同社が引用した調査では、世界のCISO(最高情報セキュリティ責任者)の60%が、過去1年間でサードパーティに起因するインシデントが増加したと回答した。

コーエン氏は、「AIがサプライチェーンリスクを生んだのではなく、それを加速させた」と指摘した。攻撃者だけでなく、取引先が導入するAIエージェントも認証情報やAPIを扱うため、新たな攻撃対象になり得るという。

企業ドメインだけで24時間以内に評価 取引先の協力は不要

その課題にSLINGはどう応えるか

SLINGによるTPRMの仕組み

SLINGは、企業のドメイン名を起点に、関連するドメインやサブドメイン、外部公開資産を自動的に洗い出す。外部から確認できる情報を収集するパッシブ方式を採用しており、対象企業へのソフトウェア導入や、担当者による情報提供は必要としない。初期評価は24時間以内に作成し、その後は継続的な監視へ移行する。

収集した情報は、ASM(アタックサーフェスマネジメント)と、KELAが10年以上蓄積してきたCTI(サイバー脅威インテリジェンス)を組み合わせて分析する。ダークウェブ上のフォーラムや通信経路も24時間365日監視する。

評価結果は、リスクを0~100で表す「Sling Score」に集約する。問題を危険度に応じて優先順位付けし、リアルタイムでアラートと是正手順を提示する。

SLINGによると、脅威グループ「ShinyHunters」が、複数企業で共通して利用されていた取引先を侵害した事例では、アカウント侵害の兆候、データベースの流出、攻撃者による犯行声明を段階的に検知した。そのため、取引先自身による公表や犯行声明の公開に先立ち、影響を受ける顧客へ通知できたという。

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