フィジカルAIが世界中で脚光を浴びている。フィジカルAIとは、現実世界を認識・理解し、自ら判断・行動できるAIシステムを指す。AIロボットやヒューマノイドロボット、自動運転車などがその代表例だ。
三菱総合研究所(MRI)によると、グローバルでのAIロボット市場規模は2030年に27兆円、2050年には90兆円へ到達する。国内市場は2030年に2.5兆円に達し、2050年には6兆円へ拡大する見通しだ(図表1)。調査会社の富士経済も、2025年に700億円だった世界のヒューマノイドロボット市場は2030年に6500億円、2035年には3兆5000億円に達すると予測する(図表2)。
図表1 AIロボットの市場規模推移

図表2 ヒューマノイドロボットの世界市場

その背景にあるのが、深刻化する労働力不足だ。MRIの試算によると、日本では身体作業を伴う労働力不足が2040年まで拡大し続け、同年には約144万人に達する見込みだ。こうした人手不足を補う存在として、フィジカルAIへの期待が高まっている。
技術的なブレイクスルーも市場拡大を後押ししている。視覚情報とテキストを同時に理解・処理する「VLM(Vision-Language Model)」や、シミュレーションを繰り返して行動の結果を予測する「世界モデル」の進化により、ロボットはより複雑な環境でも自律的な判断・行動が可能になってきた。
仮想空間でロボットに必要なデータを学習させてから現実世界へ展開する手法も着実に広がっており、学習コストや事故・故障リスクを抑えながら、効率的に開発を進められるようになった。ロボットを構成する各種センサー等の低廉化も進み、以前と比べて導入のハードルが下がっていることも追い風となっている。









