スマートフォン/タブレット端末などのスマートデバイスやクラウドが急速に普及していることを背景に、BYOD(個人所有端末の業務利用)を導入する企業が増え始めている。モビリティに優れ、ネットワークに常時接続ができるスマートデバイスを、コストを抑えて活用するメリットが明確だからだ。
しかし、個人端末を業務に利用することには、セキュリティリスクの増大や勤務時間の不規則化といったデメリットを招く可能性もある。このような理由からBYODの導入に踏み切れないでいる企業も少なくない。
BYODでスマホ利用者を広げるこのような企業の動向を見て、NTTコミュニケーションズ(以下、NTTコム)はBYODソリューションの販売に積極的に取り組んでいる。同社は法人向けのクラウドサービスやネットワーク、音声/データ通信サービスを多数持っており、スマートデバイスの普及は追い風となる。
NTTコムがBYODに着目するのは、企業がコストを抑えながらスマートデバイスを導入し、より多くの社員に生産性向上効果をもたらすのに適切な手段だと考えるからだ。会社貸与端末をスマートフォンに変更する際、パケット料金の加算も加味すると大幅なコスト増になってしまうが、BYODならばこのコストを抑えられる。
貸与端末だけで全社にスマートフォンを展開するのはコストの面で難しいことだ。だが、だからといって限られた人員のみでネットワークを構築しても、企業競争力を向上させるほどの効果は得られないだろう。できる限り多くの社員にコストを抑えてICT環境を整備するには、私有端末を利用することは合理的といえる。
「すべての端末をBYODに切り替えることに固執する必要はない。BYODは、スマートフォンを全社に行き渡らせてワークスタイル変革を実現する手段の1 つと捉えればよい。BYOD端末と貸与端末をフレキシブルに使い分けられる“ハイブリッド”なスタイルが効果を上げる場合も多い」と経営企画部BYODソリューション推進室の三隅浩之室長は話す。
BYODによりスマートフォンの業務利用者が増えれば、クラウドの活用やネットワークの切替等の需要が創出される。NTTコムは、企業のワークスタイル変革に貢献することで自社のサービスを拡販する道筋が開けることになる。