私たちの暮らしに欠かせない社会インフラである光ファイバーケーブル。総務省によると、2024年3月末時点での光ファイバー整備率(世帯カバー率)は約97.1%に達する。人が住むほぼすべてのエリアに、光ファイバーが張り巡らされているのだ。
こうした光ファイバー網を“センサー”として有効活用しようという取り組みが、近年広がりを見せている。光ファイバーセンシングソリューション「OptiXsense」を手掛けるファーウェイ・ジャパン 光技術ソリューションセールス部 部長の曾小虎氏は、「グローバルでは、ガス事業者や鉄道会社などがすでに実運用に向けて踏み出している」と話す。
光ファイバーセンシング装置「WX1033B」を商用化した実績を持つ沖電気工業(以下、OKI) 技術本部 研究開発センター フォトニクス研究開発部 部長の村井仁氏は、「国内での本格導入はこれから」だとしつつも、「大手の建設会社や道路管理会社を中心に、すでにいくつかの引き合いがある」と述べる。
NTT東日本 設備企画部 担当部長の佐々木理氏も、「ガスパイプラインや海底ケーブルの監視、海底地震の予測・検知などの領域で光ファイバーセンシングを活用したいというニーズが高まっている」と語る。光ファイバーセンシングは、社会を支える様々な重要インフラの状態を広域に監視・把握するための“神経網”として、大きな期待が寄せられているのだ。
光ファイバーセンシングの仕組み
まずは光ファイバーセンシングの仕組みについて整理しておこう。センシング装置から光ファイバーへ断続的に光パルスを送り込み、反射した光(散乱光)の強度・位相・波長などの変化を読み取ることで、光ファイバー沿いの振動や歪み、温度などを検出するというのが、その基本的な仕組みだ(図表1)。
図表1 光ファイバーセンシングの仕組み

振動はレイリー散乱光、損失・歪みはブリルアン散乱光、温度はラマン散乱光を用いて検出する。例えばNECは、レイリー散乱光を用いて振動を検知する「DAS」(Distributed Acoustic Sensor:分布音波センシング装置)と呼ばれるシステムを開発している。
OKIのWX1033Bは、ブリルアン散乱光の周波数シフトを、電気信号の「位相のずれ」として捕捉する独自方式を採用。周波数掃引(周波数を少しずつ変えながら反応を測る工程)が不要になるため、測定時間を大幅に短縮できるという。
ファーウェイのOptiXsenseは、レイリー散乱光を用いる同社の光ファイバーセンシング装置「EF3000-F05」と、他ベンダーのPTZカメラで構成されている。
光ファイバーを活用した面的な監視と、カメラによるピンポイントな映像確認を組み合わせることで、広範囲を高精度にカバーする。ファーウェイ・ジャパン 同部 ソリューションマネージャーの杜豊寧氏によると、「誤検知率はほぼゼロ」だ。









