NTTは2026年3月12日、高速かつ高信頼な次世代光通信向けの受光素子を実用レベルで実現したと発表した。
光通信では、送信側の「発光素子」が電気信号を光信号に変えて光ファイバーへ送り出し、受信側の「受光素子」がそれを電気信号へ再び変換する。ただ、NTT先端集積デバイス研究所 機能材料研究部の山田友輝氏によれば、通信速度のさらなる向上に向けては、より高速な受光素子の開発が必要になる。しかし、「高速化に伴い受光感度や長期信頼性が低下してしまうため、既存の受光素子では高速化のニーズに対応しきれなかった」。
そこでNTTは、85℃の動作条件で50年以上の耐久性能を持つ、200GHz級の動作速度を実現した受光素子を開発した。「将来的にデータセンター内のコンピューターラック間などで用いられる、3.2Tbps級の光トランシーバーの実用化を支える基盤技術になり得る」と山田氏はアピールした。

発表のポイント
高速性と高信頼性を両立させた3つの技術
この受光素子では、3つの技術を組み合わせることで高速動作と高信頼性を実現した。

NTT先端集積デバイス研究所 機能材料研究部 主任研究員 山田友輝氏
1つめが、受光感度を高める技術だ。光の進み方と干渉を制御して素子内に光を閉じ込める「光学設計」と、半導体内部で光を効率良く電気信号に変換するための「バンド設計」を高度化・最適化することで、波長1310nm・動作速度200GHz級の受光素子で世界最高レベルの受光感度を達成したという。
これまで受光素子の高速化には、光を横方向から入射させて導波路と呼ばれる横長の層内を伝播させる「導波路型」と、半導体基板の表面または裏面に対して光を垂直方向に入射させる「垂直入射型」が用いられてきた。
ただ、導波路型は長い距離で光を吸収できるため感度を確保しやすいが、構造が複雑で信頼性が低下しやすいという課題があった。垂直入射型は構造がシンプルで高信頼化が可能である一方、受光感度を確保しにくかったという。今回新たに開発した技術により、両者の課題を解決しながら、高速化と高感度化を実現できると山田氏は説明した。










