<連載>地政学リスク時代の通信戦略防衛省が備える「新しい戦い方」とは? 次世代情報通信戦略も策定

防衛省・防衛装備庁が、民生の先進技術を用いた「新しい戦い方」への備えに注力している。「防衛省次世代情報通信戦略」も公表した。ICT企業にはどんな商機があるのか。

ロシアによるウクライナ侵略は、ドローンやStarlinkをはじめとした先進的な民生技術の重要性を改めて浮き彫りにした。そうしたなか、防衛省が2023年度から開始したのが、「民生先端技術等の早期装備化に向けた取組」だ。ウクライナ戦争でも鮮明になった「新しい戦い方」に備えるのが目的である。

「防衛装備品の研究開発には通常5年以上、戦闘機などの場合は10~15年以上かかる。これに対して、ドローンのような無人アセットの技術の進展は早く、5年以上かけて開発していては、開発が終わったころには陳腐化してしまうという問題意識があった」と防衛省の担当者は説明する。ウクライナでは極めて早いスピードで装備品が更新され、調達に要する時間も1週間から2週間と短期化している。日本が防衛力を強化するうえでは、このように民生の先端技術等を画期的なスピードで取り込んでいくことが死活的に重要になっているという。

無人機やAI等による新しい戦い方

では、ウクライナ侵略での「新しい戦い方」とは、具体的にどういったものか。防衛省の担当者は、その特徴の1つとして「無人アセットの大量運用・用途拡大」を挙げる。「従来の弾道ミサイルや巡航ミサイルに加えて、大量の無人アセットを組み合わせた大規模攻撃が行われている。また、無人機の用途自体も、これまでの偵察や観測にとどまらず、長距離攻撃や前線における精密攻撃など、極めて広い用途で使われるようになっている」

こうした変化のなか、複合的な攻撃に対する防空能力の構築の必要性も高まっている。「ウクライナ軍は航空優勢を獲得させないため、アセットの分散配置を行った」と防衛省の担当者は語る。

また、各アセット間のネットワーク連接、AIの活用も「新しい戦い方」の特徴だという。「ウクライナは『デルタ』と呼ばれる状況監視システムを採用している(図表1)。前線部隊や無人機、人工衛星などをネットワークで連接して膨大なデータをAIで処理・分析。各アセット間でリアルタイムに共有できるシステムを構築し、AIを活用して迅速に意思決定できるようにしている」と防衛省の担当者は話す。

図表1 AIを活用したシステムによるリアルタイムでの情報共有・意思決定支援のイメージ

図表1 AIを活用したシステムによるリアルタイムでの情報共有・意思決定支援のイメージ

出典:防衛省の資料を基に作成

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