「ネットワークの出来がAIデータセンターの投資効率を決める」通信試験・検証の最前線を知る

需要が急拡大するAIデータセンターにあって最大の課題とされるのが、高価なGPUリソースの性能をフルに引き出し、投資対効果を最大化することだ。この成否を決めるのがGPU間やデータセンター間をつなぐネットワーク品質である。高信頼かつ高品質なデータセンターネットワークをいかに迅速に構築するのか。ハイパースケーラーの取り組みを参考に、その秘訣を探る。

現代のデータセンターインフラ構築は、まさに物量作戦の様相を呈してきている。物資や人員、資金を投入してインフラ構築・拡張を迅速化できれば、短い期間でサービスを市場投入し、投資効率を最大化できる。

ここで鍵を握るのが、サーバー/ラック間やデータセンター間を接続するネットワークの品質保証だ。その信頼性と品質が高く保たれてこそ、GPUなどの高価なコンピューティングリソースの性能をフルに発揮させ、利用効率を最大化できる。「迅速なインフラ構築」と「通信ネットワークの信頼性・品質保証」の両立が、競合との差を生み出すのだ。

ただし、データセンターでは無数の光ファイバーケーブルが使われており、設置とテスト、品質測定には膨大な人手と時間が必要だ。この作業負荷を軽減し、スピードアップすることは容易ではない。小手先の効率化はもはや通用せず、自動化技術を取り入れたテスト・測定プロセスの革新が必要だ。

VIAVIソリューションズの中村氏と本橋氏

VIAVIソリューションズ HSE&Security ジャパンカントリーマネージャーの中村彰宏氏(左)と、
光高速通信製品担当 テクニカルアカウントマネージャーの本橋真一氏

ハイパースケーラーは、この「通信品質測定・テストの変革」に先んじて取り組んでいる。VIAVIソリューションズ(以下、VIAVI) HSE&Security ジャパンカントリーマネージャーの中村彰宏氏は、「彼らは通信インフラで絶対にトラブルを起こしたくない。通信が止まった場合の損害が甚大だからだ」と話す。

そして、その新たな測定・テスト手法は「ハイパースケーラーの進出と共に、日本にもすでに入ってきている」と、光高速通信製品担当 テクニカルアカウントマネージャーの本橋真一氏。インフラ構築の最前線では今、何が行われているのか。

さらに、データセンターにおける生成AIへの対応による超低遅延、大容量の需要拡大により、空孔コアファイバー(HCF: Hollow Core Fiber)が非常に注目されており、一部の最先端データセンターですでに導入が決まっているという。VIAVIは、すでにこれに対応した測定器も提案している。

「ハイパースケーラーは100%やっている」光ファイバー測定とは

一口に光ファイバー/ネットワーク測定と言っても、伝送距離や接続形態によってその方法は異なる。データセンター内、キャンパスDCI(データセンター間接続)、メトロDCI、ロングホールDCIの大きく4つ(図表1)に分類できるが、VIAVIはこのすべてをカバーする測定・テストソリューションを提供している。

図表1 データセンターネットワークの4分類

データセンターネットワークの4分類

データセンター内においては光ファイバーの正常性を確認するため、光ファイバー配線におけるTier 1(基本)とTier 2(拡張)のテストが、インフラの信頼性を担保するための世界基準(TIA/ISO/IEC)となっている。VIAVIはこれらのテストを効率化し、テストの自動化・合否判定まで行える製品を包括的に提供している。光のロス測定やファイバー長測定、多芯極性判定などを行うもので、本橋氏によれば、データセンターの急増と人手不足という切実な課題に向き合うため、「テストの数は増えるのに、熟練した技術者が足りない」という問題を解決させることが重要になる。

これらを解決するための手法をいち早く提案しているVIAVIに対するマーケットからの反応は上々だ。すでに、多くのデータセンター用途などで導入されている。

VIAVIはこれらTier 1/Tier2テストすべてを実施できる測定器「OneAdvisor 800 FiberComplete PRO」を提供している。人手不足に悩む現場のために開発された“究極の自動化ソリューション”であり、作業者は1ボタンですべての測定が完了するだけでなく、測定時間が従来の方法と比べて 最大80%削減できる。

専門知識を必要とせず自動解析を行い、現場で最も時間がかかる「レポート作成」と「データ管理」を自動化するためのクラウド管理ツール StrataSyncを活用することにより、膨大な数のレポートもすべて一元化管理できる。

また、ロングホール区間ではダークファイバーや新たに敷設した光ファイバーを使用するため、光波長分散や偏波モード分散の測定を行なうが、それらの機能も付け加えることができる。「経験の浅い作業員でも、ベテランと同じ品質で、かつ圧倒的なスピードで作業を完了させる」ことが可能になり、限られた人員で膨大なテストをこなさなければならないデータセンター運用において、非常に画期的なテスト手法である。

もう1つ、「ハイパースケーラーや大手通信キャリアでは100%実施されている」(本橋氏)のが端面検査だ。

コネクタ端面は新品だから綺麗とは限らず、その汚れがデータセンターのトラブルの最大原因だからだ。コネクタ端面の汚れや小さな埃がコア部に付着したり、コア以外でも固着した異物でファイバー間隙が拡大、ロス増加によりビットエラーの原因となるため、データセンター内だけでなくDCIについても徹底的にチェックが行われる。トラブルの原因の多くは、実はただの汚れであり、最後に検査して不合格になり、また最初からやり直すというムダな人件費を抑えるために、最初に検査を行うのが最も効率的なのだ。

「一度ケーブルを接続したら、外したくないのがハイパースケーラー。だから、とことん検査・測定する」(中村氏)。インフラ工事を担当する事業者に対して、端面の汚れ・欠陥を検出できるVIAVIの「マイクロスコープ FiberCheck プローブ」や、多芯検査では「INX 760」を使用するよう指導するケースもあるという。

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