古野電気は2025年12月18日、時刻同期用GNSS受信モジュール「GT-100」「GT-90」「GT-9001」シリーズ向けに、認証機能の追加とジャミング・スプーフィング(なりすまし)対策を大幅に強化した新ファームウェアの提供を開始すると発表した。

(上から時計回りに)時刻同期用GNSS受信モジュール「GT-100」「GT-90」「GT-9001」
通信、金融、電力など重要インフラ分野でGNSSの脆弱性が問題となるなか、このファームウェアによってより高信頼な時刻同期の実現を狙う。今回、Galileo(欧州GNSS)および日本の準天頂衛星システム(QZSS、みちびき)に対応した認証機能(OSNMA/QZNMA)を新たに搭載。衛星から送信される航法メッセージの真正性を検証することで、偽のGNSS信号を用いるスプーフィング攻撃への耐性を高める。
また、GNSS信号を妨害するジャミングや、スプーフィングに対する検知・排除機能も強化した。多様な妨害信号を高精度に検出し、実際の攻撃環境下でも安定した時刻同期を維持できるとしている。同社は、ノルウェーで実施された世界最大級のGNSS耐性試験「ジャマーテスト」に参加し、実運用を想定した環境で検証を重ねたという。
このほか、高度制限の撤廃による成層圏での利用拡大や、TAI(国際原子時)出力機能の追加、RTCM10403.3やRINEX4.1など複数のデータフォーマットへの対応といった機能強化も行った。
新ファームウェアは既存ユーザーにはアップデートとして提供されるほか、新ファームウェアを搭載した「GT-100」「GT-90」「GT-9001」は2026年3月から出荷を開始する予定。あわせて、落雷などによるサージからGNSS受信機を保護する同軸サージプロテクター「TVA-05V」の提供も開始し、重要インフラの安定運用を支援するとしている。













