――国内PCメーカーは、iPad登場以前からタブレットの投入を検討していたと聞いています。
西大 3~4年前ですが、スマートフォンが普及し始めた頃でした。法人利用という観点で考えた時、スマートフォンで報告書の作成など、業務に必要なことがすべてやれるかというと、画面の小ささが課題でした。一方でPCは、企業でも1人1台という時代に入っていましたが、ノートPCを持ち歩くには少し重く、外出先では利用しにくい雰囲気でした。
そこで、我々は、これらの中間に位置し、課題を解決するデバイスが存在し得るのではないかという仮説を立て、検討に入りました。
まずPCについては、その形状からも、他人と画面で情報を共有することには向いていません。キーボードが邪魔なのです。一方のスマートフォンは、タッチパネルの採用で操作性が格段にアップしていますが、前述のように画面の小ささが課題でした。そこで、スマートフォンの操作性をそのままに、画面を大きくしたデバイスを作れば、今までにない利用シーンでの訴求ができるのではないかと考えました。
実際我々は、2009年の当社の展示会「iEXPO」で7インチタブレットの原型を作って来場客にマーケティングをし、多くの方から「これはいい」という反応をいただき、具体的に開発に入りました。
――その間にアップルのiPadが登場したわけですね。
西大 はい。ただ、彼らは10インチクラス(9.7インチ)で出して来ました。我々は当時10インチのネットブックを投入したばかりだったこともあり、ネットブックとスマートフォンの中間ということで7インチを選びました。このため、iPadとは差別化を図れると思っていましたが、iPadの市場へのインパクトが想定よりも強く、苦戦することになりました。