楽天モバイルは2025年6月20日、5Gミリ波のマルチビーム技術やAI、機械学習(ML)を活用した「5Gセンシング」に関する実証実験を実施したと同社の公式ブログで発表した。
小売店やイベント会場等での人数計測には、カメラを使用するのが一般的だったが、5Gセンシングでは、映像の代わりにWi-Fi、セルラーRADAR(モバイル通信網を利用して、周囲の物体や人の動きをレーダーのように検出・認識する技術)、Bluetoothなどの無線信号を使用する。対象物や環境との直接的な接触をせずに、カメラなどで観測が難しい複雑な環境でも動作し、個人を特定せずプライバシーへの配慮にも優れるといった特徴がある。
同実証では、会議室や小売店などの屋内環境を想定。楽天のオフィス内に試験環境を構築し、5Gセンシング技術を使用した人数計測の検証を行った。ミリ波で5G信号を送信する基地局、8つの異なる無線波を送信するMassive MIMO対応の5Gミリ波アンテナ、RSRP(基準信号受信電力)計算のために5G信号を検出できるエリアテスターを設置した。
ミリ波帯は、広い周波数帯域のため高速データ通信が可能になる一方、壁などに遮られて電波が遠くまで届きにくい欠点があるが、Massive MIMOとビームフォーミング技術を使うことで、複数方向に指向性を持たせた電波を届けられる。これにより、高密度な環境や屋内環境への配置であっても、高速かつ安定した通信の提供が可能となったという。
今回の検証により、試験環境にいる人数を正確に計測し、5Gミリ波のネットワーク環境下におけるセンシングソリューションの実現可能性を検証することができたとしている。