ローデ・シュワルツ、複数信号の同時処理や超広帯域に対応したスペアナ新製品

ローデ・シュワルツは2025年6月16日、スペクトラムアナライザの新製品「FSWXシグナル・スペクトラム・アナライザ」を発表した。従来の機器では対応が難しかった広帯域・高精度の測定を可能にする設計を採用しており、移動体通信、レーダー、衛星通信などの先進分野での活用を見込む。

ローデ・シュワルツのスペクトラムアナライザの新製品「FSWXシグナル・スペクトラム・アナライザ」

同製品の大きな特徴に、マルチチャネル対応、相互相関(クロスコリレーション)機能、超広帯域対応がある。

マルチチャネル対応では、複数の信号を同時に処理できるマルチ入力ポートを搭載。これは、例えば異なるアンテナからの信号を同時に取り込んで、ビームフォーミングや、航空機・自動車のレーダーセンサ評価などに利用できる。各ポートは4GHzの解析帯域幅を持ち、複雑な信号環境でもスムーズな測定が可能という。

同製品には、同種の計測器では初めてとなるというマルチパス内部アーキテクチャを採用。これは、1つの信号を2系統の独立経路に分けて処理し、それぞれに局部発振器とADコンバータを用いることで、後段のデジタル処理で相互相関アルゴリズムを適用できる仕組みだ。これにより、測定器自身が持つノイズを除去し、測定対象そのものの特性を高精度に把握できるとしている。

超広帯域対応は、信号を選別・整形するためのフィルタ・バンクと、最大8GHzの解析帯域に対応したADコンバータの組み合わせによって実現。従来はYIG(イットリウム鉄ガーネット)フィルタという可変型の部品が用いられていたが、その応答速度や精度に課題があり、高速信号には不向きとされていた。同製品ではこれを排除し、デジタルでの高精度な帯域制御を可能にしたという。なお、狭帯域用途にYIGフィルタが必要な場合にはオプションで追加できる。

ソフトウェア面では、異なるチャネル間での測定値を同期して扱う「CrossACT(クロスアクト)」機能を搭載。たとえば、レーダー信号の高調波が5G信号に与える影響を評価するなど、複数の信号間の干渉を可視化するという。

同製品は、2025年6月17日からサンフランシスコで開催されるIEEE「IMS2025(国際マイクロ波シンポジウム)」で初めて一般公開される予定。

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