BYOD導入に対する日本の出遅れが鮮明に ―― ジュニパーがモバイル端末ユーザーの世界的な動向を調査

ジュニパーネットワークスがモバイル端末ユーザーの世界的な動向を調査した。調査対象となった米国、英国、ドイツ、日本、中国の5カ国のうち、他国に比べて日本のBYOD導入の遅れが浮き彫りとなる結果だった。

ジュニパーネットワークスは2012年5月22日、今年3月に実施した第1回「Trusted Mobility Index」調査の結果を発表した。これはモバイル端末ユーザーの世界的な動向を調べたもので、米国、英国、ドイツ、日本、中国の5カ国の4037人のモバイル端末ユーザーおよびIT部門の意思決定者を調査対象としている。

同調査によればBYOD(個人所有端末の業務利用)を実施していると答えたのは5カ国全体で56%で、日本の回答者だけで見ると33%だった。日本は5カ国の中でBYODの利用率が最も低い結果となったが、同社のマーケティング部総括部長の近藤雅樹氏は、「保守的で個人情報保護法が整備された日本にしては、意外に高いのでは」という見解を示した。日本でもBYODは着実に根付いてきているようだ。

ただ、それでも他国に比べてBYOD導入に遅れをきたしているのは一目瞭然である。どこが海外と違うのか、もう少し詳しく見ていくことにしよう。まず大きく違ったのは、職場で業務利用が認められているモバイル端末の割合である。フィーチャーフォンについては海外と比較して差が見られなかったが、スマートデバイスの業務利用は海外の半数程度しか認められていない。

日本ではスマートデバイスの業務利用は認可されづらい傾向にある

また、海外では職場で業務利用が認可されていないデバイスを利用しているユーザーが41%もいるのに対し、日本は18%と多くのユーザーが会社側のポリシーを守っていた。近藤氏はこの理由の1つとして、個人情報保護法の存在を挙げた。日本では個人情報の漏洩は企業に多大なダメージを与えるため、従業員レベルでも行動がより慎重になっているのである。

日本の企業でもBYODを求める声は多いが、信頼性の低さが壁になっている

とはいえ、日本の従業員も海外と同様、BYODの導入を求めている。近藤氏は「国際競争力の観点からも、積極的にセキュリティポリシーなどを策定していき、(BYODによる)生産性の向上を享受していく必要がある」と指摘したうえで、企業と従業員の双方が安心してBYODを活用していくための基盤となるネットワークセキュリティソリューションの強化にいっそう力を入れていく考えを示した。

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