韓国ではスマートフォンの普及率がすでに全加入者の50%を超えている。韓国の携帯電話加入者数は約4000万であり、すでにスマホユーザーが2000万加入以上いる計算だ。当然この急激なスマホ化は移動体通信事業者のインフラにも多大な影響を与えており、日本と同様、様々な問題が発生している。例えば、多くの人が密集する江南や明洞エリアでは接続が切断されたり、そもそも3Gで接続できない事象が頻繁に発生している。
こうしたなか、韓国で今注目されているのが3G-Wi-Fiオフロード技術の1つである「ANDSF(Access Network Discovery & Selection Function)」だ。本技術は3GPPの標準として規定された「グローバルスタンダード」の技術である。
ANDSFは次の技術的な特徴を有している。
– サーバー側からのポリシー適用により、端末(UE)がどのネットワークに接続するかを遠隔から制御できる(クライアント型の接続制御は行えない)
– ユーザーの端末のWi-Fi機能がOFFの状態でも、強制的にONに移行させることができる
– 外部システムとは比較的独立して設計できる(最小の連携)
– 端末とサーバー間の通信にはOMA-DM(Open Mobile Alliance-Device Management)というプロトコルを使用する
– オフロード先としてはWi-Fiだけではなく、WiMAX、LTEその他のネットワークを規定できる
– 端末の現在位置情報をもとに、最適なネットワークを(ポリシーにより)選択させることができる
これらの特徴によって、ネットワークインフラ投資の最適化とユーザー満足度(QoE:Quality of Experience)の維持向上を両立させようというのがANDSFの試みである。
ANDSFでは、3GとWi-Fiのどちらに接続させるか、そのポリシーは時間帯、場所、混雑状況などに応じてきめ細かく設定できる。また、ポリシーはリアルタイムに規定することも可能だ。通信事業者が設置した無線LAN APだけでなく、家庭やオフィスなどに設置されたプライベートな無線LAN APをオフロード先として指定できるようにもなっている。さらに、端末からの情報はすべてログの形で収集できるため、解析をしたログデータをセルの最適化などに生かすこともできる。