<特集>5G-AdvancedのチカラネットワークAPIで新経済圏 AWSやGoogleも熱視線

日本ではまだ話題になっていない5G収益化のキーコンポーネントがある。5G網機能を外部から制御するネットワークAPIだ。これを軸に新たなデジタルサービスの経済圏が作られようとしている。

5Gの目的の1つは、ユースケースやアプリケーションの要件に応じて機能・性能を柔軟に提供できるようにすることだ。これを実現する仕組みとして5G標準化当初から注目されてきたのが、ネットワークスライシングである。

そして、目玉はもう1つある。5G網機能を外部に開放し、アプリ側からそれを制御・利用可能にする「ネットワークAPI」だ。欧州や米国の携帯電話事業者(MNO)では、これを活用して新たな経済圏を創造しようとする取り組みも走り始めている。

APIで何ができる?

ネットワークAPIは、5Gを使うアプリ/サービスの提供者やエンドユーザーが、5Gネットワークの情報を取得したり、特定の網機能を利用したりするのに使われる。5Gをプログラマブルにするこの仕組みは、5GコアのNEF(Network Exposure Function)という機能をベースとしている。5Gコアを構成するネットワーク機能の情報を集約し、外部との橋渡しを行うものだ。

どんな情報をやり取りできて、どんなネットワーク機能が使えるのか。主なネットワークAPIを図表1に示した。これらはGSMAがLinux Foundationと共に設立した「CAMARA」というオープンソースプロジェクトで定義されたもので、世界中のMNOが共通的に使うことを目的としている。2023年に、この共通APIを媒介として、世界各国のMNOとアプリ/サービス事業者が連携してビジネスモデルを確立するためのフレームワーク「GSMA Open Gateway」が発足した。

図表1 CAMARA/GSMA Open Gatewayで利用できる主なAPI

図表1 CAMARA/GSMA Open Gatewayで利用できる主なAPI

APIの種類が多く、かつユースケースがわかりやすいのが、加入者のID・属性情報に関するものだ。認証や不正防止に使われる。携帯電話番号による認証(Number Verification)や、SMSによるワンタイムパスワード配信を利用したり、MNOが保有する加入者の属性情報(KYC情報)を要求・取得するためのAPIがある。携帯電話料金と合わせた課金・支払いを要求するキャリア決済(Carrier Billing)もある。

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