5Gが第2幕を迎えようとしている。
進化形である「5G-Advanced」の初仕様として3GPP Release 18(以下、Rel-18)の標準化が2024年6月に完了。2025年から実ネットワークへの導入と商用展開が始まる。中国など一部の国ではすでに商用稼働しているが、いよいよその動きが全世界に広がる。
日本も例外ではない。
通信事業者は5G-Advancedの導入計画をまだ明らかにしていないが、その「機能は2025年から徐々にリリースされてくる。効果が大きいもの、価値が見出せると判断した機能から優先順位を付けて導入していくことになる」と、ソフトバンク モバイル&ネットワーク本部 無線開発統括部 無線ネットワーク開発部 部長の畠中秀明氏は見通しを話す。
ソフトバンク モバイル&ネットワーク本部 無線開発統括部 無線ネットワーク開発部 部長 畠中秀明氏
未来を左右する2つの使命
5G-Advancedは5Gの強化版であるとともに、6Gのベースにもなる。5G SA(Stand Alone)上で新機能および拡張機能を提供することで新たなユースケースを開拓。5Gの収益化に弾みをつけつつ、2030年頃を目処に6Gへつなげていく(図表1)というのが、このフェーズ2のシナリオだ。モバイル通信を産業のインフラにするという5Gの目標を達成する、そして、社会インフラを目指す6Gへつながる基盤を作る、2つの使命を担う。
図表1 6Gへの進化の道筋
最大のテーマは、やはり“5Gのマネタイズ”だ。ノキアソリューションズ&ネットワークス 執行役員 技術戦略本部長の高岡晴生氏はこう語る。
ノキアソリューションズ&ネットワークス 執行役員 技術戦略本部長 ストラテジー&テクノロジー 高岡晴生氏
「オペレーター各社はみな5Gのマネタイズに苦労している。要は、4Gとの差別化が難しい。この課題を解決できるかが、大きなチャレンジだ」
通信事業者も期待を寄せる。「Rel-17以前は、どちらかというと一般ユーザー向けの高速大容量通信、スマホ向けの技術がメインだった。5G-Advancedはそこも拡張しているが、これまで実現できなかった様々なユースケースに適した機能の標準化こそがメインと考えている。今までソリューション提供ができなかったようなお客様のニーズ・要件に合ったネットワークが提供できるようになる」と話すのは、ソフトバンク ソフトウェア開発課 課長の木谷竜也氏。「5Gがもともと描いていた姿を、より実現しやすくなる」と展望する。