2025年2月26日、米国のセキュリティベンダーArctic Wolfが都内で記者会見を開き、日本市場への本格参入を発表した。
Arctic Wolf 社長兼最高経営責任者のニック・シュナイダー氏(右)と、日本担当副社長の吉本努氏
同社は2012年設立。クラウドネイティブなセキュリティオペレーションプラットフォーム「Aurora」を主力商品とし、日本では「Aurora エンドポイントセキュリティ」の提供から事業をスタートする。
2月にCylance買収完了 大規模運用体制とAI技術を融合しEDR製品提供
Arctic Wolfは、2024年12月にBlackberryからAIベースのエンドポイントセキュリティ製品である「Cylance」を買収することを発表し、この2月に正式に買収が完了した。Aurora エンドポイントセキュリティは、Cylanceブランドで展開していた製品をリブランディングしたもので、2月からすでに提供開始しているという。
Arctic Wolf 社長兼最高経営責任者のニック・シュナイダー氏
Arctic Wolf 社長兼最高経営責任者であるニック・シュナイダー氏は、2023年に生じたサイバー犯罪による損失額は125億ドルに上ると指摘し、同社の「ミッションはサイバーリスクを終わらせること」と語った。Arctic Wolfは全世界で1万社以上の顧客と800人以上のセキュリティエンジニアを有し、1週間に8兆件以上のセキュリティイベントを観測・分析しているという。
Arctic Wolfの概要
シュナイダー氏は、「他のセキュリティベンダーはツールの提供から始めるが、Arctic Wolfは最も困難な運用(の課題)から始め、その上にツールを統合する形でプラットフォームを発展させた」と話し、同社の強みが大規模な体制に支えられた高度な運用にあることを強調した。従来、Arctic WolfはMDR製品を中心に提供してきたが、Cylanceの買収によりEDRがAuroraプラットフォームに追加され、より包括的なパッケージに進化したという。
日本市場では、エンドポイントセキュリティの「Aurora Protect」「Aurora Endpoint Defense」、マネージドエンドポイントセキュリティの「Aurora Managed Endpoint Defense On-Demand」「Aurora Managed Endpoint Defense」の4つの製品を展開する。Aurora エンドポイントセキュリティは、Cylance AIの予測技術とArctic Wolfが持つ「Alpha AI」の行動分析を組み合わせ、エッジとクラウドの双方で高精度な脅威検知を実現することが長所となるという。「顧客が期待する結果をより効果的、効率的に提供できるようになる」(シュナイダー氏)